スポーツ

2023.07.22 12:00

元サッカー日本代表が選択する独リーグ「2部」の意義

元サッカー日本代表の町野修斗。移籍先になぜ「2部」を選んだのか?/photo by Zhizhao Wu Gettyimages

肉弾戦がより重視される独リーグの環境。監督をはじめとするチームの熱意。そして、試合に出られる確率の高さ。弾き出された結論は「急がば回れ」だった。2部ゆえに試合出場が保証されるわけではないと前置きしながら、町野は今後の青写真を明かしている。
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「ドイツ2部がゴールだとは思っていません。あくまでも通過点だし、自分としてはドイツ1部やプレミアリーグのビッグクラブで活躍するのが目標なので。キールが昇格できればベストですけど、とにかくゴールを重ねて、できるだけ早く世界に注目してもらえるようなストライカーになるイメージというか目標を思い描いています」

その書き込み「More more more」

日本を渡って10日ほどが経った7月15日。キールの公式ツイッター(@Holstein_Kiel)が20秒間の短い動画を投稿した。キャンプ中のチームが臨んだオーストリアのクラブとの練習試合。クロスに左足を合わせて、先制点を決めた町野の姿が収められていた。

湘南での1年目を振り返りながら、町野は離日前にこんな言葉を残していた。

「当時は決定機を外す場面がかなり多くて、町野にパスを出しておけば大丈夫、という信頼感をチームメイトから得られなかった。なので、2年目はキャンプの段階からとにかくゴールを意識して、その積み重ねで13ゴールをあげられたと思っています」
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同じ図式がキールにも当てはまる。ただ、まだ第一歩を踏み出したばかり。決意を新たにするように、町野は自身のツイッター(@shuto_machino)に英語で短く投稿した。

「More more more(もっと もっと もっと)」

出身地の伊賀市にちなんで、町野は「忍者ポーズ」をゴールパフォーマンスにしてきた。仁王立ちしながら左手の人さし指と中指を上にして立て、右手の人さし指と中指を左手の手のひらで包む。日本代表入りとともにポーズが浸透していったなかで、町野は伊賀市の観光大使に就任し、日本忍者協議会からはアンバサダーに任命された。

キールでの初ゴール後には「忍者ポーズ」を取っていない。それでも興味津々なチームメイトに笑顔でポーズを教える動画も、クラブの公式ツイッターに投稿されている。

「プライベートでどれだけ溶け込んでも、ピッチ上での結果やプレーで示さないと本当の意味での信頼は勝ち取れない。両方でチームに溶け込んでいきたい」

こう語っていた町野は、本格的に学び始めて半年あまりの英語に「あとはノリと勢い」と度胸が大事だと意気込み、難解なドイツ語には「下ネタを覚えて溶け込みたい」と笑う。日本代表に欠けている「ポストプレーヤー」として居場所を築くために。あえてドイツ2部からの挑戦を選んだ町野は、今月30日にリーグ戦の開幕を迎える。

連載:THE TRUTH
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文=藤江直人

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