パークウェイ・ベンチャー・キャピタルのグレッグ・ヒルは、筆者のユーチューブチャンネルのTechFirstで、「ヒューマノイドロボット無しでは、将来的に経済が麻痺してしまうことになる」と語った。
ここ最近は、誰もが人型ロボットを作りたがっているようだ。ヒルは、人類に良い影響を与えるヒューマノイドを開発するというマスタープランを持つスタートアップの「Figure.ai」に投資している。一方のテスラは、Optimus(オプティマス)と呼ばれるヒューマノイドを開発中だ。同社を率いるイーロン・マスクは、将来のある時点でこのロボットがテスラの評価の大部分を占めると考えている。
中国企業の傅利葉智能(Fourier Intelligence)はGR-1というロボットを製造。米ボストン・ダイナミクスもこの分野で興味深いプロジェクトを行っている。米Agility Robots(アジリティ・ロボッツ)は、実際に人型ロボットを稼働させている。カナダのSanctuary AI(サンクチュアリAI)は、これまでに1億カナダドル(約100億円)以上を調達し、新世代のヒューマノイドを開発している。
これらの企業は、高齢化が進む国々が直面する人口減少の問題を、ヒューマノイドで解決しようとしている。
「ヒューマノイドは、テスラ車のように数回の充電で1日24時間働くことができ、週末も働き、病気になることもない」とヒルは語る。VC投資家たちによると、その実用化は、われわれが考えているよりも早く実現するという。
人型ロボットが最初に実用化されるのは、工場や倉庫のようなタスクが明確で、ナビゲーションのための一貫した経路がある場所になりそうだ。しかし、いずれは医療や介護、輸送など、肉体労働が必要な場所ならどこでもロボットが活躍するようになるだろう。そして人工知能(AI)やソフトウェアが、非常に重要な役割を果たすようになる。
「ヒューマノイドの数が瞬く間に人間と1対1になる、もしくは人間の数を上回る世界を想像してみてほしい」と、VC投資家のジェシー・コアーズブランケンシップは語った。「それは生産にどんな影響を与えるだろう? 生産性と生産方法にとって完全なゲームチェンジャーとなる」
ロボットは最初は高価だが、時間とともに安くなり、肉体労働の限界費用をゼロに近づける可能性がある。そのような世界が実現した場合、失業者のための対策が重要になる。イーロン・マスクは、ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)が有効な手段になると述べている。その財源は、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツが提唱したように、ロボットへの所得税になりそうだ。
(forbes.com 原文)