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AI

2023.07.24 17:00

洞窟からブドウ園まで体験創出、AirbnbのAI活用が誕生するまで

ネイサン・ブレチャージク Airbnb共同創業者兼最高戦略責任者(CSO)

2010年代を代表するテクノロジー企業のAirbnb。“ユニコーン”を卒業した同社は、AI時代をどう生き抜くのか。戦略面を司る創業者の一人が独占インタビューに応じた。


「ブドウ園」「洞窟」「三角屋根の家」──。2022年にAirbnbが導入した「検索カテゴリー」は、宿泊先探しの新たな体験を創出した。従来は、日時や行き先を指定し、そのうえで宿を探すのが一般的だったが、Airbnbは、シーンから旅行を組むという逆転の発想をサービスに生かした。

60以上あるカテゴリーのなかで、いま開拓を進めているのが「歴史ある建物」だ。数十年や数百年前に建てられた建造物を宿泊場所として掲載するカテゴリーで、日本は重要市場の一つとなっている。

国内では空き家が急増しており、その数は18年時点で848万戸に上る。Airbnbはここに目をつけ、リノベーションされた施設を宿泊先として掲載することで価値をよみがえらせている。ただ、日本には古民家を建てる技術はあるが、技術継承者が減っている。そこで同社は今年2月、一般社団法人全国古民家再生協会に1億5000万円を寄付した。人材育成や空き家再生を支援するのが目的だ。

こうした新たな旅体験の創出に向け、昨今のトレンドである人工知能(AI)や大規模言語モデル(LLM)の活用も視野に入れ、動き始めている。

「AIをどう活用するか。毎週のエグゼクティブミーティングでこのトピックに関して話しています」

そう語るのは、Airbnb共同創業者で最高戦略責任者のネイサン・ブレチャージク(40)だ。社内ではAIの専門チームが立ち上がり、ネイサンをはじめ幹部らとともに活用法を探っている。

現在行っているのは、AI活用の優先順位づけだ。社内で進んでいるいくつものプロジェクトにAIを用いるとどんな価値が生まれるかを見極め、リストアップ。ユーザー体験を高める可能性を秘めたものから順に手をつけていくという。

「ChatGPTなどのLLMは誰でも自分の言語で利用できるユーザーフレンドリーなサービス。従業員の業務改善に生かすこともできるでしょうし、ユーザーの旅行体験を高めることも可能だと考えています」

旅行体験のパーソナライゼーション(利用者への最適化)にも期待ができるとネイサンは話す。
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文=露原直人 写真=小田駿一

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年9月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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