米国勢調査局の最新データによると、2023年1月から5月までの期間において、中国からの輸入額が、米国の総輸入額に占める割合は13.35%だった。一方でメキシコの割合は16%、カナダも15%に達した。中国は、14年間連続で守ってきた米国の輸入相手国トップの地位を明け渡したことになる。
中国にとっては、中国からの輸入品にひろく追加関税を課すトランプ政権の政策に加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的なパンデミックによって、原材料と完成品の両方に関して中国に過剰に依存するリスクが顕在化したことが、ダブルパンチになった格好だ。
現在、コロナ禍によるサプライチェーンへの影響はおおむね沈静化したものの、バイデン大統領は、トランプ前大統領が課した中国への追加関税をそのまま維持している。
2022年には、米国の貿易額(輸出入額の合計。以下の数字を含めて財のみでサービスは含まれず)が史上初めて5兆ドル(約700兆円)の大台を突破し、輸入額が3兆ドル、輸出額が2兆ドルを超えてどちらも過去最高を記録したが、中国は、こうした状況のなかでも相対的な地位を低下させたことになる。
最新データを見ると、2023年1~5月の米国の中国からの輸入額は1686億3000万ドル(約23兆5280億円)で、史上最高だった前年同期の2228億4000万ドル(約31兆910億円)から減少した。マイナス幅は実に24.42%に達する。同期間の米国の総輸入額が、前年比でマイナス5.67%にとどまっていることと比べると、その落ち込みは際立っている。
中国からの輸入額が大幅減になったことで、輸出入の両方で米国にとって最大の貿易パートナーとなったメキシコは、さらにその地位を確かなものとした。さらに、米国の貿易玄関口として、メキシコとの貿易拠点であるテキサス州ラレド(メキシコとの国境で最大の内陸港)も、トップの座を確実にした。これまで、空港と海港を合わせた米国の国際貿易拠点の取扱額ランキングで長く首位の座を保ってきたロサンゼルスと、中国からの輸入品が多くを占めていたシカゴ・オヘア空港を引き離したかたちだ。