海外からパートナーに選ばれる理由
次々に海外との関係を構築していくSparkLabs。2023年3月には、サウジアラビアからパートナーに選ばれ、NTDP(国立技術開発プログラム)のスタートアップ・アクセラレーター発足を発表しました。バーナードはSparkLabsが選ばれた理由について、次のように推察します。
「パートナーに選ばれる2年ほど前から、サウジアラビアはスタートアップ育成に取り組んできました。しかしなかなか上手くいかない面もあり、成果を生むために外部の力を活用しようと動いていたんです。SparkLabsが選ばれたのは、さまざまな国で展開してきた実績、大企業とのコラボレーションのアプローチ力、エコシステム重視の姿勢がポイントでした」
海外展開を目指すスタートアップ育成のノウハウや、韓国の起業家が海外の起業家・メンターから学ぶネットワークなどを、SparkLabsは豪州や台湾などでも横展開しました。
ただ、「韓国式を押し付けるのでなく、その地域ごとに組織を作り、ローカルのエコシステムにあったやり方を重視している」といい、そのうえで第一に考えるべきは「人」だと言います。
「台湾でアクセラレーターを始める2年前に投資家からアプローチされましたが断りました。それは順序が逆。まずローカルのリーダーやチームがいてこそのアクセラレーターだとSparkLabsは考えていて、お金を受け取るならその後。
台湾で尊敬されている、ナイスガイの起業経験者を見つけて、台湾での発足を決めました」とバーナードは説明してくれました。
日本への進出も検討
SparkLabsは現在、日本への展開も考えています。「すでに声を掛けてくれた日本の組織もありますが、他国と同様に、人重視でローカルのリーダーシップがカギになると考えています」(バーナード)とのこと。
日本政府のスタートアップ支援策では、海外からのマネーを期待し、特に米国のアクセラレーターに期待する一方で、SparkLabsのようなスタートアップをグローバル市場に導く存在は視野に入っていないかもしれません。
日本のスタートアップ・エコシステムでは、国内派と国際派が分かれがちで、国際派がとても少ないのです。しかし単に米国のアクセラレーターや日本人の米国派遣プログラムに頼るだけでは、垣根を越えるブリッジ役が乏しいのではないでしょうか。日本のスタートアップをグローバルに送り出すアクセラレーター、それも国際的で有益な経験とつながりのあるSparkLabsのような存在をつくる努力があってよいかもしれません。