形状によって「ベビーネスト」などとも呼ばれる乳幼児用のクッションは、赤ちゃんが寝返りなどをして顔を表面に押し付けた場合や、前にかがんだり後ろに反ったりして呼吸が妨げられる体勢のままになった場合、窒息するおそれがある。
米国小児科学会(AAP)は、赤ちゃんは「硬く、平らで、傾斜のない面」で寝かせることを推奨している。だが問題のクッションは、赤ちゃんが寝転んで横向きになったり、腹ばいになったりしやすい形状になっている。
米The Boppy Company(ザ・ボッピー・カンパニー)が製造した人気製品は2015年12月〜2020年6月に8人の死亡と関連づけられ、330万個がリコールの対象になった。この製品はその後、さらに2人の死亡例が報告されている。
危険なのはボッピー社の製品に限らない。NBCの調査報道によると、他社の類似製品でも2015年12月〜2021年9月に少なくとも21人の死亡につながっていたことが判明した。
こうしたなか、民主党のリチャード・ブルーメンサル上院議員(コネチカット州選出)とジャン・シャコウスキー下院議員(イリノイ州選出)は14日、米消費者製品安全委員会(CPSC)に書簡を送り、その中で「乳幼児を安全に寝かせられると親たちを信じ込ませて使用を勧めている、枕形ラウンジ(乳幼児用クッション)や類似製品を排除する厳しいルールが不可欠だ」と訴えた。
一方、書簡で名前を挙げられたメーカーのひとつ、Leachco(リーチコ)の代理人を務めるオリバー・ダンフォード弁護士はフォーブスの取材に、同社のベビーネストは「意図されたどおりに使用されれば安全」だと強調した。
ダンフォードによると、リーチコ社はCPSCの主張の理非だけでなくCPSC内部での手続きについても争っており、CPSCの判断プロセスは憲法に違反していると異議を申し立てる訴訟を起こした。(編集注:NBCの記事によると、CPSCはリーチコ製のクッションについても乳幼児2人の死亡と関連づけて、2022年1月にリコールの実施を試みたが、同社側は製品は安全だと譲らず協力を拒否した)
問題の発覚後、一部のメーカーは乳幼児用クッションは睡眠用ではないと主張するようになった。だが両議員は、これらの製品のデザインや広告は親や世話をする人たちに、赤ちゃんを寝かせるためのものと思わせるものになっていることが多いと指摘している。
CPSCは先月、リコールの対象になったボッピー社の製品について、新たな死亡例の報告を受けて消費者に使用を中止するよう呼びかけている。
(forbes.com 原文)