「年上の部下」へのマネジメント 「敬語」より必要な姿勢とは

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成果主義の台頭やミドル人材の転職増加などによって、「年下の上司」と「年上の部下」という逆転の構図はもはや珍しいものではなくなった。今後、定年延長によるシニア人材の活用推進で、そうしたケースはさらに増えていくことが予想される。両者は一見すると摩擦が生じることも多そうな間柄だが、その実はどうなのか。

企業向けの研修事業を展開するサイボウズ チームワーク総研は5月、30代〜50代の会社員を対象に、年下の上司と年上の部下との関係性に関する調査を実施した。2500名のビジネスパーソンから得られた調査結果からは、意外な両者の関係性や、年下の上司が年上の部下を持つ苦労などが明らかになった。

まず、年下の上司には年上の部下との仕事のやりやすさを、年上の部下には年下の上司との「仕事のやりやすさ」を尋ねたところ、ともに76%が「やりやすい」と回答した。その理由について年下の上司側では、年上の部下は「仕事を任せられる」が最多で40%、「相手が聞く耳を持っている」(35.2%)、「相手のスキルや経験が十分」(34.2%)の順に。仕事への信頼に関わるものが目立った。

一方、年上の部下側では、年下の上司は「上から目線がない」(42.3%)、「聞く耳を持っている」(39.8%)、「話しかけやすい雰囲気」(36%)という理由が上位に。年下の上司の接しやすさ、相談しやすさをあげる人が多かった。

続いて、年上の部下へのマネジメントに必要だと思うことを聞くと、両者の答えには乖離が見られた。年下の上司側では「敬語・丁寧な言葉遣い」が最も多かったが(41.9%)、年上の部下側では3割弱(27.7%)に留まる結果に。一方の年上の部下側では、「部下の話を聞く」が最多(43.2%)となり、「適切な判断と意思決定」「部下のミスのフォロー」など「適切な関与」を求める答えが上位に続いた。

さらに、上司に対して自身が部下より年下だから苦労したことを質問すると、「年上の部下の固定化したやり方・考え方」をはじめ、「年上の部下に気を遣い、伝え方が難しい」「年上の部下と他メンバーとの、関係調整」といった声が(自由回答)。また、「年上の部下の価値観は、なかなか変わらない」「年上の部下は、所属チームの人間関係において気を遣う」という意見について、前者には年下の上司の約7割(67.6%)が、後者には約6割(58.6%)が「そう思う」と答えた。

しかし、年上の部下に関する意見を、年下の上司、年上の部下に聞いたところ、両者で同様の回答傾向が見られた。「若い人の手本となるべき」(両者約8割)、「所属チームのパフォーマンス発揮の主力となるべき」「あれこれ指導しなくても、自走して成果を出すべき」(いずれも両者約7割)など、全ての意見において高い割合に。年下の上司は、年上の部下にチームの屋台骨としての役割を期待し、年上の部下もそれに応えようとしている様子が垣間見えた。

同社は「チームにおいて、上司/部下はあくまで成果を出すための『役割』です。成果を出すために大切なことは、年下の上司、年上の部下、お互いが同じ理想を共有し、それぞれの役割において今考えていることのすり合わせを繰り返すことです」と説明。そのために、年下上司には傾聴の姿勢、そして年上の部下には素直な姿勢が何より求められている。


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Forbes JAPAN Web編集部

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