去年の夏は、トム主演の「トップガン マーヴェリック」(ジョセフ・コシンスキー監督)が、世界の映画界を席巻した。日本でも130億円以上の興行収入を叩き出し、年間でも実写映画の第1位に輝いた。
今年も彼の作品「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」が、暑い夏に多くの観客を劇場に向かわせそうだ。
「トップガン マーヴェリック」は、前作の「トップガン」(トニー・スコット監督、1986年)からは36年ぶりの第2作だったが、今回の「ミッション:インポッシブル」の最新作は、1996年からスタートしたシリーズの7作目に当たる。
トムにとって、「ミッション:インポッシブル」シリーズの第1作は、自分たちが立ち上げた映画製作会社「クルーズ/ワグナー・プロダクションズ」の記念すべき第1回作品でもあった。この作品で、トムは初めて映画プロデューサーにも挑戦し、自ら監督にブライアン・デ・パルマを指名している。
それだけに、もともと映画会社の企画であった「トップガン」とは異なり、「ミッション:インポッシブル」シリーズには、自分たちの作品として並々ならぬ思い入れがあったと考えられる。
トムがこのシリーズで毎回、スタントマンを使わず、自らの身体を張って驚異のアクションシーンに挑戦しているのも、もちろんその現れにちがいない。また、ほぼ4年に1度、新作を送り出し続けてきたのも、自分たちのビジネスに直結する作品だったからかもしれない。
シリーズのなかで最も危険なシーン
「ミッション:インポッシブル」シリーズは、日本でも放送されていたテレビドラマシリーズ「スパイ大作戦」(原題「Mission: Impossible」、1966年〜1973年)の映画化だが、ラロ・シフリンによる有名なテーマ曲を除いては、物語も登場人物もほとんどが独自なものとして製作されている。シリーズは、回を追うごとにトムの生身の激しい「アクション」がセールスポイントとなっており、彼が扮する主人公イーサン・ハントの超人的な活躍がこれでもかというほどに盛り込まれている。
トムはシリーズ最新作である今回の「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」では、これまでのキャリアのなかで最も危険なスタントシーンに挑戦している。