欧州

2023.07.20 10:00

記録的な猛暑への対抗策はシエスタ? ドイツ公衆衛生医師会が導入を勧告

英BBCによるとシエスタの起源はイタリアにあり、古代ローマ人が昼間、通常午後1時~3時に食事と休息を取っていたことに基づく。この習慣は欧州各地に広まったが、特にスペインで定着。1日の労働時間を2分割し、朝から集中して働いた後、2時間の昼休憩をはさんで再び夕方遅くまで働くスタイルが伝統となった。この長い休憩時間によって、特に農村部では労働者が休息を取ったり、次の仕事場へ移動したりすることができた。

現代にもシエスタを実践しているスペイン人はいるが(BBCによれば約40%)、大都市のオフィスワーク文化では昼寝が推奨されていないため、習慣としては廃れつつある。一方で「シエスタを守ろう」という運動を始めた地域もあり、ホテル予約サイトのHotels.comは2017年、マドリードのアトーチャ駅にシエスタ用睡眠ポッドを設置した。ビジネススクールIESEのヌリア・チンチリャ教授は英紙ガーディアンに、シエスタを続けているスペイン人は最も暑いアンダルシア州南部に多く、通常30分ほど寝ると語っている。

しっかり休息を取れそうに思えるシエスタだが、BBCによれば実のところ、スペイン人に持続不可能な長時間労働をさせる要因となっており論争を呼んでいる。長い昼休みが消滅しても長時間労働はなくならず、午前9時か10時に勤務を開始して午後8時まで働き続け、休憩中に昼寝をしない人も珍しくなくなった。スペイン政府は過去に2時間の昼休みを廃止して勤務時間を午後6時までに短縮することを提案したが、最近の経済対策では週4日勤務の採用を推奨している。

forbes.com 原文

編集=荻原藤緒

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