コロナ禍を経て、世界中では多くの人々が日常を取り戻しつつある。ところが今もなお、デジタルデバイスを活用するヘルスケア/ウェルネスケアに向けられる人々の関心は高い。アップルのヘルスケア機能もOS、デバイスを横断して使いやすくなる。
iOS 17、watchOS 10に追加される「心の状態」記録
中でも注目したいのがユーザーの「心の状態」をセルフチェックできる機能だ。iOS 17は「ヘルスケア」アプリ、watchOS 10は「マインドフルネス」アプリに加わる機能は、デバイス間のスムーズな連携も実現する。iOSのヘルスケアアプリを開くと、新しいデータ項目として「心の状態」が並ぶ。これを開いて「現在の感情」、または「1日の気分」をマニュアルで記録する。パラメータは「普通」を中心として「非常に快適」から「非常に不快」まで全7段階ある。さらに心の状態を指し示す複数のキーワードをタグ付けする。
ユーザーができることはこれだけだが、心の状態を把握するための「下準備」は手間なくシンプルな方がいい。なぜならユーザーが習慣的に記録したデータをグラフに変換して、心の状態を「可視化する」ことが新機能の目的だからだ。
心の状態を表すステータスを選択後にタグを付ける。iOSのヘルスケアアプリはタグのテキストを自由に打ち込める。心の状態はグラフ化され、Apple Watchで計測した「日光下の時間」など関連するデータとの因果関係を俯瞰できる
iOSのヘルスケアアプリに集まる記録は、スコア分けされた状態で時系列にグラフ化される。タグ付けした言葉を関連付けて、例えば過去のある日に「フィットネスのことで悩み、不快さを感じたこと」を振り返ることもできる。
Apple Watchのユーザーであれば、心の状態の変遷を「エクササイズ」「日光下の時間」「睡眠」など関連するヘルスデータと結び付けて解釈を加えることも可能だ。例えば「十分に睡眠が取れなかった日の評価は『不快』が多い」ことがグラフに反映されていれば、環境要因が心のバランスに影響を与えることを自覚できる。