海外

2023.07.21

EVバッテリーの欠陥を検知 米スタートアップLiminalの技術

(c)Liminal

自動車・モビリティ業界が電気自動車(EV)用バッテリーの製造を加速させる中、バッテリーの発火事故が相次いでおり、安全性への懸念が高まっている。

米カリフォルニア州エメリービルに本拠を置くLiminal(リミナル)は、バッテリーが市場に出回る前に欠陥を発見する技術を開発した。同社は7月10日、バッテリー業界の重鎮として知られるデニース・グレイ(Denise Gray)を戦略アドバイザーに迎えたことを明らかにした。

グレイは、ゼネラルモーターズ(GM)に30年間在籍し、シボレー・ボルトのバッテリープログラムを率いたことで知られている。最近では、韓国のリチウムイオン電池メーカー、LGエナジー・ソリューションで、北米地域の渉外とガバメント・リレーションズの責任者を務め、それ以前は同社の米国子会社であるLGエナジー・ソリューション・ミシガンの社長を務めた。

「私は、アドバイザーとしてリミナルが目標を達成することをサポートしたい。必要なことを何でも手助けしたい」とグレイはインタビューで語った。

リミナルの共同創業者アンドリュー・シェとそのチームは、プリンストン大学でのポスドク研究を発展させ、2015年に同社を設立した。同社が開発した「EchoStat」システムは、超音波と機械学習を組み合わせることで、生産中のバッテリーを精査する。

シボレー・ボルトEVは、相次ぐ火災事故で大規模リコールと生産停止に追い込まれたが、シェはEchoStatを用いれば、その原因となったバッテリーの欠陥を発見できると考えている。

「われわれの技術は、バッテリーの物理的特性をリアルタイムで測定し、性能や寿命につながる物理的なパラメータを把握するものだ。また、電極のズレなど、品質不良やリコールにつながる他の欠陥を検出することも可能になりつつある。現在の最先端技術をもってしても検出できないような物理的問題を検出することができる」(シェ)
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編集=上田裕資

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