日本文化に即した「人を立てる」「人を活かす」「人間を尊重する」という日本型リーダーシップを推奨し、実践し続けてきた「アチーブメント」代表取締役会長兼社長の青木仁志代表が、これから100年先へ向けた、リーダーシップの要旨を語る。Forbes JAPAN 執行役員 Web編集長の谷本有香との対談で繰り広げられた「令和5年版 最新リーダーシップの極意」とは?
目先の利益を追求しない「新・経済的合理性」
青木代表は、1987年、選択理論心理学を基礎理論とした人材教育コンサルティング会社「アチーブメント株式会社」を設立。これまで、延べ47万人以上の人材育成と7000人以上の中小企業経営者教育に従事してきたキャリアを持つ。日本経済新聞「就職希望企業ランキング」では、中小企業部門において、最高位を受賞するなど、人材育成業界のパイオニア的存在だ。著書「一生折れない自信のつくり方」は、40万部のベストセラーを記録。そんな青木代表が、日本青年会議所の歴代会頭5人が実践し、成果を上げてきた本質をまとめた「次世代リーダーに求められる「人を動かす力」」(アチーブメント出版)を上梓する。売り手市場と言われる人材不足の現在、経営者の方向性を決めるヒントとなる金言を、Web編集長 谷本が伺う。
谷本有香(以下、敬称略):リーダーの定義は、時代と共に変わってきますが、コロナが明けた今、リーダーの定義について、どのように捉えていらっしゃいますか
青木仁志:世界的な環境変化が起こり、DXやAIの進化はめざましいものがありますが、今、日本型のリーダーが求められていると感じます。
これまでリーダーシップ論というと、欧米型のリーダーシップが主流でした。たとえば、資本主義社会の根底には「勝つ=誰かを押しのける」という考えがあるように思います。経済的合理性という言葉を笠に着て、短期的利己的な意思決定がなされていました。しかし、本当に経済的合理性を重視するのであれば、長期的繁栄というのは本来見過ごしてはならないのです。
近視眼的な目先の利益を求めないのが、これからの時代のリーダーシップの在り方。昨今パーパスという言葉が流行っていますが、目的に向かって人々を導く真のリーダーシップが必要とされているのだと思います。
そしてこれは、日本で培われてきた指導者論とフィットしています。例えば日本的経営の土台にあるのは近江商人の「三方よし」という考え方。売り手よし、買い手よし、世間よしという視点をもって経営をせよと。私はこれを、社員幸福度・顧客満足度・社会貢献度と言い換えていますが、社員とともに、お客様とともに、社会とともに。勝ち負けではなく、「共創」するリーダーがいま必要とされており、それは日本型のリーダーシップとも言えるのではないでしょうか。