このところTikTokで関心を集めている「ベッド・ロッティング」が意味するのは、ストレスや不安を感じたとき、神経が張り詰めていると感じたときに休息を取るため、あるいはそれらの感情にうまく対処するため、あえて1日の大半をベッドの中で過ごすことだ。
ベッドの中で、何をして過ごしてもいい。ただただブランケットにくるまって「ブリトー」のようになっていても、ネットフリックスの番組を見ても、何か食べても、誰かと電話で話してもいい。ベッド・ロッティングはTikTok上で「Z世代の新たなセルフケアの方法」として広まっている。
ベッドの中で1日を過ごすなど「怠け者のしるし」だと思う人もいるかもしれない。だが、これは「自分の心と体の声に、より耳を傾けること」だ。エネルギーをリチャージしたり、リダイレクト(向ける先を変更)したりするために、必要な時間だ。
「問題」になる場合も
毎日決まって高い生産性を維持しなければならないと考えるのは、不条理な話だ。重要なのは、そう考えることよりも、自分のペースで物事を進めること。私たちには、生産的ではない日もある。1日中ベッドから出ない日がときどきあっても、何も悪いことはない。だが、度を越してしまえば、当然ながら問題は起こる。確認しなければ日付がわからなくなったり、季節の変化に気付かなくなったりすれば、それは良くない兆しだ。
また、何らかの行動を回避するために「ベッドで腐る」なら、それも問題だ。例えば「できるだけ早く報告書を提出します」と言ったばかりなら、ベッド・ロッティングはそのとき取る最善の行動ではないだろう。
毛布にくるまって過ごすのは、現実逃避のためかもしれない。だが、それは多くの場合、問題の解決にはつながらない。
もう1つの問題は、健康に悪影響が及ぶことだ。睡眠パターンが混乱したり、食欲がなくなったりするかもしれない。ベッドの中では、なかなか有酸素運動もできない。
さらに、私たちの体は必ずしも、寝て過ごすようには作られていない。横になっている時間があまりに長ければ、腰など体のあちこちに、痛みを感じるようになるだろう。
ストレスにうまく対処し、休息を取る方法を探しているなら、ベッド・ロッティング以外にも方法はある。走ったり、自転車に乗ったり、踊ったり、体を動かすのも良い。読書や料理をするのも良いだろう。
「制御できるか」がカギ
結局のところ、行動の良し悪しを決めるのは、それがあなたの健康と生活にどのような影響を及ぼすかであり、あなたがその行動をどの程度コントロールできるかということだ。ときどきベッドの中で「腐って」過ごしても、生活に新たな問題がもたらされない限り、問題ではない。だが、仕事を失ったり、人間関係を損なったり、貯金を取り崩したりするようになれば、問題になる。ベッドの中で過ごす頻度や時間の長さをコントロールできなくなるのもまた、問題だ。
見て見ぬふりをしている、根本的な問題があるのかもしれない。だが、そうだとしても、それをシーツやブランケットで覆い隠していてはいけない。
(forbes.com 原文)