このアイデアは、マスクに批判的な人を含め、多くの人が賛同できるものだ。ただ、報酬受け取りの最低要件である有料サービス「Twitter Blue」加入を急ぐ前に、この制度の具体的な内容をしっかり見る必要がある。
先週に広告収入分配が始まった後、ツイッター上では、著名ユーザーが1000~2万5000ドル(約14万~350万円)を受け取ったことを示すスクリーンショットが拡散。中には、10万ドル(約1400万円)の分配を受けたとの投稿もあった。
ただ、Twitter Blueに加入したからといって、誰もがすぐ報酬を受け取れるわけではない。こうした人々がなぜ巨額報酬を得られたのかを細かく見る必要がある。
第1に、分配開始直後に巨額の報酬を受け取った「クリエイター」たちの大半は、マスクがフォローしていたり、ツイッター上で直接やり取りをしていたりする人だ。圧倒的多数が保守派で、炎上してエンゲージメント(他のユーザーからの反応)が増えやすい投稿を繰り返している。
リベラル派陣営で報酬を受け取ったクラッセンスタイン兄弟も同様に、アカウントを凍結された過去があり、マスクと頻繁にやり取りをしている。このように、現在分配を受けているのはマスクが選んだとみられるごく少数のユーザーであり、この対象がいつ拡大されるのかは不明だ。
第2に、初回の分配額は、過去の分までさかのぼって計算されたものだ。マスクは、分配実施を発表した2月以降の累計分を支払うと表明している。よって、ツイッター上で出回っている報酬額は約5カ月分のものであり、月収はこれを5で割った額となる。
さらに、広告収入分配を受ける条件として、以下が設定されている。
・Twitter Blueに少なくとも3カ月間加入していること
・少なくとも3カ月にわたり、ツイートのインプレッションが500万回に達していること(よって、フォロワー数が数百~数千人程度しかいない大多数のユーザーは除外される)
・報酬額は「Creator Studio」に表示されるインプレッションの総数ではなく、他のTwitter Blueユーザーからのインプレッションのみを数えて算出される