ファッション

2023.07.19 10:00

エレガントで自然体、そして自分らしく 「アイコン」ジェーン・バーキンの軌跡

2021年7月、カンヌ国際映画祭に参加したジェーン・バーキン(Stephane Cardinale - Corbis/Corbis via Getty Images)

2021年7月、カンヌ国際映画祭に参加したジェーン・バーキン(Stephane Cardinale - Corbis/Corbis via Getty Images)

英国生まれの歌手で女優のジェーン・バーキンが16日、パリで76歳で亡くなった。高級ブランド「エルメス」のバッグの名前の由来にもなり、フランスの歌手で作曲家のセルジュ・ゲンスブールと公私にわたるパートナーだったバーキンは、その端正な美しさと自然体のスタイルで数々の映画監督やファッションデザイナー、ミュージシャンにインスピレーションを与え続けた。

Photo by kpa/United Archives via Getty ImagesPhoto by kpa/United Archives via Getty Images

バーキンは1946年、ロンドンに生まれた。女優としてキャリアをスタートさせ、1960年代末にフランスに渡る。1969年公開の映画『スローガン』でゲンズブールと共演し、以後長く続くことになる関係が始まる。ふたりは私生活では事実婚状態となり、子ども(のちに女優になるシャルロット・ゲンズブール)をもうけたほか、仕事でもゲンスブールがバーキンに楽曲を提供するなどパートナーになった。

同年発表したゲンスブールとのデュエット曲「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」は、歌詞などの露骨な性表現のため一部の国でラジオでの放送が禁止され、バチカンからも非難された。

バーキンは気取らない装いや猫目の「ドウ・アイ」メイクで人気を集め、さらにゲンズブールとの波乱に満ちた関係も手伝って、1970年代にかけてスターダムを駆け上がった。

Photo by Reg Lancaster/Getty ImagesPhoto by Reg Lancaster/Getty Images

独特なパリジェンヌスタイルでファッションアイコンになると同時に、映画や音楽関係者のミューズにもなった。また、古めかしい籐のバスケットをかばん代わりに持ち歩くことでも知られるようになる。このバスケットがのちに、夫となったフランスの映画監督、ジャック・ドワイヨンによってわざと車で轢かれて最後を迎えたのは有名な話だ。

1980年代半ば、バーキンは乗っていた飛行機で、バッグ代わりに使っていたビニール袋が破けてしまう。持ち物が全部入るようなバッグをエルメスが作ってくれないからよ、と思わず不満をこぼしたという。それを偶然、隣の席で聞いていたのが、エルメスの当時の会長でヘッドデザイナーのジャンルイ・デュマだった。

エルメスはその年のうちにバッグの新ライン「バーキン」を立ち上げ、以来、バッグのバーキンは究極のステータスシンボルになっている。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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