アイドルをグループで売り出すのは、それぞれの役割があるからである。センターは美貌、そのまわりはボーカル、ダンス、ラップなどを担当するので、少なくともメンバー4人は必要だ。
韓国の人たちはアーチストに「隣のお姉さん」的親しみやすさより、「手の届かない美貌」を求める傾向があるため、センターではなくても美貌のアーチストは多い。また、韓国の人は美貌に多様性を認めないため、どこか似通った顔立ちの人たちが多く、K-POPに興味を持っていないと、誰が誰だか区別しにくい部分もある。
そして、同じアイドルグループに見えても、大手事務所のアーチストたちのほうが売れっ子になりやすい。大手のほうが音楽やダンス、プロモーションなどにかけるカネがケタ違いだからだろう。
それでも、ごくまれに弱小事務所からも売れっ子アイドルグループが誕生する。
BTSがまさにそんな弱小事務所から誕生したビッグアーチストである。BTSを育てた音楽プロデューサーであり企業家でもあるバン・シヒョクは、BTSと一丸となって頑張ってきた。いまでは上場し、推しも推されぬ大きな事務所となっている。
4人組女性アイドルの世界的快進撃
今年になって「ポストBTS」と期待される女性アイドルグループがブレークした。弱小事務所に所属する「FIFTY FIFTY(フィフティーフィフティー)」という4人組アイドルである。デビューは昨年の11月で、最初の楽曲はそれほどの反響は得られなかったが、2番目の曲「Cupid(キューピッド)」が大ヒットした。2月24日に発売された「Cupid」は、米国で16週連続で権威ある「Billboard(ビルボード)」の「ホット100」にランクインした。
それも韓国の女性アイドルグループとしては最短でだった。ちなみに、「ホット100」入りした韓国の女性グループは、ワンダーガールズ、BLAKPINK(ブラックピンク)、TWICE(トワイス)、NewJeans(ニュージーンズ)、そしてFIFTY FIFTYである。
FIFTY FIFTYのプロモーション戦略は、TikTokやインスタグラムのReels(リール)など、SNSのショートフォームで曲と映像を流すことだった。そして、バズったきっかけは、海外のファンが早回しで「Cupid」を流したことだった。
「Cupid」は韓国語バージョンと英語バージョンがあり、海外のリスナーでも聴きやすい。そして、最近のSNSのショートフォームのトレンドである音楽に合わせてダンスをするチャレンジなどのBGMとしても使われた。