映画

2023.07.18 12:00

Qアノン陰謀論との関連で「物議の映画」が米2位に急浮上

安井克至

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米国の元政府職員のティム・バラードが、南米コロンビアの性的人身売買業者から子どもたちを救出するミッションを題材とした映画『サウンド・オブ・フリーダム(Sound of Freedom)』が、公開2週目の週末の興行収入ランキングで急浮上した。この作品は、主演俳優が過去にQアノンの陰謀論を後押ししたことで批判を浴びているが、特に保守系の観客たちから大きな支持を集めている。

Box Office Mojoのデータによると『サウンド・オブ・フリーダム』は今週末の全米興行ランキングで『ミッション:インポッシブル』の最新作に次ぐ2位を獲得し、7月4日の公開から8500万ドル(約118億円)以上を稼いでいる。

この映画は、今年の全米興収ランキングで18位につけており、レビューサイトRotten Tomatoesの批評家スコアは72%を記録している。

『サウンド・オブ・フリーダム』は、元国土安全保障省(DHS)の捜査官のティム・バラードが、性的人身売買業者から子どもたちを救おうとした任務の実話をベースとしている。バラードは、この映画とまったく同じミッションを遂行したとは述べていない模様だが、映画の最後には、バラードが率いた組織がコロンビアで実際に行った任務のイメージ映像が映し出される。

この映画は、バラードと彼を演じた俳優のジム・カヴィーゼルの両名が、過去にQアノンの陰謀論を宣伝していたことから、批判されている。バラードは以前、家具小売業者のウェイフェアが子どもの人身売買に加担したという根拠のない噂を流布していた。

一方、カヴィーゼルは複数のQアノンのイベントに登壇し、人身売買組織が子どもたちの血液から、ハリウッド俳優たちが使用するアドレノクロムと呼ばれる若返りの特効薬を抽出していると述べていた。

配給元のエンジェル・スタジオは、この映画と陰謀論とのつながりを否定しているが、『サウンド・オブ・フリーダム』は、多くの保守系の著名人の間で話題になっている。イーロン・マスクを擁護したことで知られる保守派の政治評論家のベン・シャピロも、自身の番組にバラードとカヴィーゼルを招いていた。

トランプ前大統領も今月初め、トゥルース・ソーシャルでこの映画の予告編へのリンクをシェアしていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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