国連によると、世界人口の55%が都市部に住んでおり、その割合は2050年までに68%に達すると予想されている。人口が密集し、渋滞が発生し、路面付近に熱が滞留する都市部の状況は、農村部よりも複雑になる可能性が高い。
考えられる解決策の1つが、道路や敷地の舗装に太陽熱を反射するコーティングを施すことだ。米ロサンゼルス近郊のパコイマでは現在、こうした遮熱塗装によって外気温や路面温度にどのような影響が出るかを実証する「クール・コミュニティー・プロジェクト」が展開されている。
スタンダード・インダストリーズ傘下の屋根材・防水材メーカー、GAFが主導するこのプロジェクトでは、昨年夏にまず10街区を対象に、道路と舗装地、学校の運動場、バスケットボールコート、駐車場2カ所の計6万5000平方メートルに遮熱塗装を施した。遮熱塗料を使ったストリートアートも描かれた。
現在、対象地区内の43地点でデータを収集し、遮熱塗装が舗装面の温度と周辺の気温に及ぼす影響を分析している。
プロジェクトリーダーを務めるGAFの持続可能性担当バイスプレジデントであるジェフ・テリーは、初年度にいくつかの「すばらしい成果」が得られたとフォーブスに語った。
テリーによると、晴れた日の日中の周辺気温は、遮熱塗装を施していない地区と比べて平均1.5度下がった。熱波の到来時にはさらに周辺気温が低下し、塗装のない地区との差は最大3.5度に広がった。
また、晴れた日の日中の路面温度は、平均で10度低下。ヒートアイランド効果も、暑さのピーク時で25〜50%、24時間平均で13〜21%緩和された。
遮熱塗装を施した舗装面は、午前中には温度上昇がゆるやかで、午後には通常の舗装より早く冷えることも確認された。