2023.07.17 13:30

今なら本物の「灯台」が買える お値段140万円から

マサチューセッツ州にあるプリマス(ガーネット)灯台(Getty Images)

マサチューセッツ州にあるプリマス(ガーネット)灯台(Getty Images)

米ペンシルベニア州で工業塗装会社を経営する4児の父、リッチ・クチェは2022年、こつこつ積み立ててきた貯蓄をはたいてメリーランド州チェサピーク湾にある築120年のフーパー・アイランド灯台を19万2000ドル(約2700万円)で購入し、話題を集めた。「思い付きでやったようなものだ」とインタビューで語っている。「一生のうちに何かもっと有意義なことをしたかったんだ」
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クチェはフェイスブックインスタグラムユーチューブに動画を公開し、灯台を所有するというのは想像以上にやりがいのあることだったと話している。「現代生活の騒音やストレスから離れ、自然に囲まれて、何よりすばらしい朝日や夕日を眺められる。これほど有意義なことはない」

羨ましいと思った人は、今なら自分の灯台を手に入れることが可能だ。米国政府は、不動産から自動車にいたるまで連邦政府のあらゆる資産を管理・売却する一般調達局(GSA)のプログラムの下、国内各地の灯台をわずか1万ドル(約140万円)から一般に売却したり、非営利団体に無償譲渡したりしている。

灯台を歴史的建造物として保存する手段として、GSAが今年売却・譲渡する灯台は過去最多の10基。4基は一般向けに競売にかけられ、6基は教育、レクリエーション、文化活動などの目的で一般公開することを条件に、連邦政府、州政府、地方自治体、非営利団体、教育団体に無償譲渡される。
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GSAの不動産処分担当部長ジョン・ケリーは「今年は米国の一般市民や地域社会にこれらの象徴的なランドマークを所有する機会をたくさん提供でき、わくわくしている。10基の灯台にすばらしい持ち主を見つけたい」と語った。

灯台の何が人々を魅了するのだろうか。「灯台愛」あふれるウェブサイトlighthousefriends.comを運営するクレイグ・アンダーソンは「人が灯台を好きになる理由はさまざまだ」と話す。サイトでは灯台の建造物としてのシンプルな美しさと、それを建造し守ってきた人々をたたえている。「技師たちが機能的で美しい設計をした。そこには、時に命がけで船員らの命を救い、一晩中、灯りをともしたり鐘を鳴らしたりしてきた献身的な灯台守たちの物語がある」

今年競売にかけられる灯台4基も、それぞれ際立つ魅力を誇る。中西部オハイオ州のクリーブランド港沖に浮かぶクリーブランド・ハーバー・ウエスト・ピアヘッド灯台は、エリー湖の船舶運航を支えてきた貴重な存在で、船でしか行けない。同じく中西部のミシガン州ホートン郡にあるキューウィーノー・ウォーターウェイ・ローワーエントランス灯台は、スペリオル湖岸にそびえる1919年築の灯台だ。
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編集=荻原藤緒

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