ウクライナ軍がどういう作戦計画を立てているのかは、政府中枢部や第21機械化旅団の司令部以外、誰も正確にはわからない。ウクライナ軍参謀本部は、第21機械化旅団によってロシア軍の連隊や旅団をクレミンナ周辺に張り付かせておく狙いなのかもしれない。そうすれば、これらの部隊は南下して、ウクライナ軍が攻撃している防御区域の増援に向かえなくなる。
あるいは、第21機械化旅団にこの方面を攻撃させるなどして、ロシア軍をクレミンナから引き剥がすつもりなのかもしれない。そうして、ウクライナ軍の反転攻勢の新たな攻撃軸を北東部につくり出そうと考えている可能性もある。
いずれにせよStrv122は、ロシアのウクライナ全面侵攻が始まってから1年5カ月間、各戦車がしてきたのと同様の働きをしているはずだ。今日、戦車同士の戦闘はめったにない。戦車はむしろ、歩兵戦闘車とともに進み、砲撃によって敵の防備を崩して歩兵戦闘車が前進できるようにする役回りになることが多い。
この点で、戦車の乗員が直面する最大の危険は、埋設された対戦車地雷「TM-62」になる。西側諸国はこれまでに、ウクライナにレオパルト2とStrv122を合計で少なくとも71両引き渡し、うち3両が撃破され、5両が損傷している。大半が地雷によるものだ。
もっとも、Strv122に損害が出始めても動揺すべきではない。さらに言えば、第21機械化旅団がスウェーデンから供与された戦車を使い果たして、別の戦車で置き換えなければならなくなったとしても驚くべきではない。
なぜなら、2002年までに生産されたStrv122は120両にとどまり、スウェーデンはうち10両をすでに手放しているからだ。スウェーデン陸軍には11個の戦車中隊があり、それぞれ戦車10両が配備されている。つまり、既存の部隊を解散しないかぎり、これ以上Strv 122を提供する余裕はないということだ。
(forbes.com 原文)