撮影は完全ストップ、宣伝も不可に
米紙ニューヨーク・タイムズによると、WGAのストライキによってすでに映画やテレビ作品の制作の80%が中断されていた。SAG-AFTRAのストライキにより、英国で行われていた撮影や台本のないリアリティー番組など、残りの作品の制作もストップすることになる。俳優による作品の宣伝もできなくなる。今月21〜23日にカリフォルニア州で開催される娯楽イベント、サンディエゴ・コミコンでは、俳優らが壇上で作品について話す姿は見られそうにない。9月に予定されているエミー賞授賞式も影響を受ける可能性が高い。米芸能誌バラエティーによると、放送するFOXと主催者は、式を11月か来年1月に延期する可能性を協議している。
ハリウッドの娯楽ニュースサイト、デッドラインは、近日公開予定の映画がストの影響を受けることはなさそうだとしながらも、仮にストライキが長引けば、製作会社側はクリスマスシーズンに予定している作品の公開延期を余儀なくされるかもしれないと指摘している。
同サイトによると、青春恋愛映画『ダーティ・ダンシング』の続編やギャング映画『ワイズ・ガイズ』など、2024年第1四半期の公開が予定されている作品は制作が終わっていないとみられ、ストの影響で公開が延期される可能性が高い。
ディズニーCEOは「憂慮」
米国で前回、俳優の組合と脚本家の組合が同時にストを行ったのは1960年にさかのぼる。当時、映画俳優組合(SAG)を率いていたのは、のちに米大統領になるロナルド・レーガンだった。この際に問題になったのは、映画のテレビ放映にともなう報酬で、俳優のストは1カ月あまりで終わったものの、脚本家のストは152日間続いた。ストを起こされている対象企業の一社であるウォルト・ディズニーのボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)は13日、CNBCの番組に出演し、俳優と脚本家のストを「憂慮している」と言明。業界は新型コロナウイルス禍から回復しようとしているさなかであり、「最も悪い時期」の出来事だと懸念を示した。
(forbes.com 原文)