モビリティ

2023.07.17 09:00

GM電気自動車の失敗の歴史、テスラとどこで差がついたのか

Brandon Woyshnis / Shutterstock.com

だが、GMは初めからこのモデルを信じていなかった。コンプライアンスのためにつくられた車種でしかなく、GMは可及的すみやかに生産を終了した。テスラなら、GMがスパークにしたようなことは絶対にしなかっただろう。
advertisement

そして2016年に「シボレーBolt」が誕生したが、2023年4月にはまたしても生産中止が発表された。今回もGMは、Boltの生産中止に関するもっともらしい理由を並びたてたが、GMが生み出すバブル(閉じた言論空間)の外にいるすべての人にとっては、またダラダラと言い訳が始まったとしか思えなかった。

EV参入から数十年、GMはいまだに泥沼から抜け出せずにいる

確かに、2021年12月に生産開始されたGMのピックアップSUV「ハマーEV」は販売中だ。高い需要により、このピックアップSUVの予約受付は停止している。2022年5月に販売開始された「キャデラック・リリック」も予約分を完売したし、2024年発売のピックアップトラック「シルバラードEV」の予約も伸びている。

だが、実際の納車数を見ると、その印象は変わる。GMは、2023年第1四半期に968台、第2四半期に1348台のリリックを販売した。またGMの公式発表によれば、2023年第2四半期のハマーEV納車数はわずか47台であり、第1四半期からたった2台しか増えていない。

Voltの発表から13年、EV1の発表からは27年という歴史を考えれば、悪い冗談のような数字だ。
advertisement

一方、テスラは年間数百万台のEV販売を実現しており、2030年までには生産台数で世界最大の自動車メーカーに上り詰める勢いだ。GMの販売台数は、テスラに比べれば雀の涙であり、テスラに追随する無数のEVメーカーの1つでしかない。

この文章は、褒め言葉で終わりたい。シボレーVoltは最高の車だった。Boltも甲乙つけがたい。だが、いまやどちらも絶滅した。筆者が愛用していたEVを殺したのは、誰あろうGMだったのだ。

追記

筆者は2013年にVoltをリースで利用し、後にリース車を買い取って、5年にわたって所有した。後に購入したシボレーBoltは今も運転している。また、過去にはシボレー・スパークEVを半年間利用していたこともある。

GMのEV1のイメージ動画はこちらで、GMのEV1に関する社内教育動画の最初の3分はこちらで見ることができる。

forbes.com 原文

翻訳=的場知之/ガリレオ

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事