今回のシリーズDラウンドでは少なくとも2億ドルの調達が見込まれており、俳優のアシュトン・カッチャーのサウンド・ベンチャーズが投資家を束ねようとしていると2人の情報筋は語った。しかし、ハギングフェイスの共同創業者でCEOのクレマン・ドランジュ(Clément Delangue)は、他にも複数のオファーを受けており、まだディールを決めかねていると4人の情報筋は付け加えた。
別の情報筋によると、ドランジュは早ければ7月14日に有利なオファーを選択する見通しという。ハギング・フェイスは、最大で3億ドルの調達を視野に入れており、既存の投資家が土壇場で参加する可能性もあるとされる。アルファベットの投資部門のGV(旧グーグルベンチャーズ)とDFJ(ドレイパー・フィッシャー・ジャーベットソン)もこのラウンドに注目していると、ある情報筋は付け加えた。
この状況は、AI関連のスタートアップを取り巻く投資家の熱狂を示している。今から約1年前に、ハギングフェイスはラックス・キャピタルが主導し、Coatue(コーチュー)とセコイア・キャピタルが参加したシリーズCラウンドで1億ドルを調達した。このラウンドで、2021年の売上高が1000万ドルにも満たないハギングフェイスの評価額は20億ドルとされた。3人の情報筋によると、同社の売上高は今年急増し、現状で3000万ドルから5000万ドルに達しているという。
ブルックリンを拠点とするハギング・フェイスは、創業者のドランジュが「機械学習のためのGitHub」と呼ぶプラットフォームで急成長を遂げた。同社は、昨年から有料機能を提供し始めたばかりだが、ドランジェによると、インテルやイーベイなど1000社以上の企業顧客を持ち、製薬大手のファイザーやロシュは企業レベルのセキュリティ機能に対価を払い、ブルームバーグは既存のインフラ上に新しい自然言語プロダクトを構築するためにハギング・フェイスを利用している。また、マイクロソフトはBing検索エンジンのトレーニングにハギングフェイスを使用している。