プライムデーが示すeコマース動向の変化
しかし、消費者が財布の紐を緩める可能性があるとしても、2023年の小売業界における消費者の行動がこれまでとは異なることは否定できない。長年の不確実性とストレスは、消費者にとって何が重要なのか、どのように買い物をしたいのか、どこでお金を使いたいのかといった考え方を変えたのだ。このようなトレンドの変化はプライムデーで顕著に表れた。特にBNPL(Buy Now Pay Later、後払い決済)の注文が大幅に増加し、今年のプライムデーにおける注文額の6.4%(約633億円)を占め、2022年から19.5%増加した。
BNPLの増加は、顧客が買い物に柔軟性を求めていることを示しているだけでなく、実際の支払いが行なわれる時期が遅れることから、小売業界の成長見通しに影響を与える可能性がある。
2023年の消費者は比較的まだお金を使うことに慎重になっており、セール品や掘り出し物に強い関心がある。ある調査によると、消費者の90%が割引にこれまで以上に関心を持っているとされ、アマゾンなどの小売企業はこの結果を戦略に反映させる必要があるだろう。
2023年の小売業に影響を与えるもう1つのトレンドは、モバイルショッピングの成長である。プライムデー期間中の注文の43.7%がスマートフォン経由で行なわれ、2022年の42.7%から上昇した。この、わずかではあるが着実な増加は、消費者がモバイルデバイスでの買い物により親しんでいることを示している。変化しつつある消費行動を最大限に活用するため、オンラインの小売業者は、どのデバイスからでもシームレスに買い物ができるよう、モバイル体験を最適化する必要がある。
今年のプライムデーは確かに大きな記録をもたらしたかもしれないが、それが魔法のように小売業全体を救うわけではない。顧客にとって何が重要で、どのように買い物をしたいのかを理解することは、すべての小売業者が年間を通じて適切かつ効果的な体験を提供することにつながるだろう。
(forbes.com原文)