画像は、へびつかい座ロー分子雲領域の小さな星形成領域を写したもの。ウェッブが2022年7月12日に「ファーストライト」と呼ばれる初観測でイータカリーナ星雲などを撮影して華々しいデビューを果たして以来、1年間にわたり続けてきた科学への貢献を祝って公開された。
へびつかい座ロー星
太陽系から390光年離れたへびつかい座ロー星は、地球に最も近い星形成領域だ。ウェッブの画像は、厚いちりの繭(まゆ)と水素分子の赤い噴流の中にある太陽サイズの恒星約50個を写し出している。この新画像はNASAのサイトからダウンロードできるが、宇宙望遠鏡科学研究所のウェブサイトには超高解像度版も用意されている。
宇宙での最初の1年
ウェッブは最初の1年で、幾つかの「ディープ・フィールド」画像を撮影し、これまで観測された中で最もビッグバンに近い銀河や星々を初めて捉えた。ウェッブは太陽系外惑星を発見し、多くの惑星の大気を観測。さらに、われわれの太陽系でも新たな境地を開いた。つい数週間前、NASAは土星の美しい赤外線画像を公開。5月には、土星の小さな衛星エンケラドゥスから巨大な水蒸気の柱が宇宙に放出されているところを観測した。
昨年8月には、木星の驚くべき画像の数々を赤外線で撮影し、その激しい嵐や雲の帯、微かなオーロラ、そして小さな衛星たちの姿を明らかにした。
NASAの科学ミッション局副部長のニコラ・フォックスは「1周年を迎えるまでに、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は宇宙の姿を解き明かすという約束をすでに果たし、何十年も残る息を呑むような画像と知見の宝庫を人類にもたらしてきました」と語る。「世界トップレベルの科学者とエンジニアが技術の粋を集めたウェッブは、銀河、恒星、そして系外惑星の大気に関するこれまでになく詳細な理解を私たちに与えています」