宇宙

2023.07.16 14:00

ウェッブ望遠鏡1周年、息をのむ新画像をNASAが公開

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の運用1周年を記念して公開された画像。へびつかい座ロー分子雲領域で星が誕生する様子がかつてない精細さで描かれている(NASA, ESA, CSA, STSCI, KLAUS PONTOPPIDAN (STSCI))

秘密兵器

ウェッブの素晴らしい発見は、それが遠赤外線を捉えることのできる初めての宇宙望遠鏡である事実に支えられている。赤外線は人間の目に見えない長い波長の光で、はるか彼方の天体からやってくる古代の光だ。
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ウェッブの真の秘密兵器であるNIRCam(近赤外線カメラ)は、赤外線を熱として捉える。その微かな熱信号を感知するために、ウェッブの観測機器は、氷点下233度前後の超低温に保たれている。機器は、「カプトン」と呼ばれる超耐熱・超耐寒性フィルムで作られた5層からなるテニスコート大のサンシールド(遮光板)で覆われている。各層の間は真空に保たれ、断熱材の役割を果たしている。

見えないものを見えるように

赤外線は人間の目には見えないため、NIRCamが集めた光は可視波長域に変換され、フィルターを使ってこうした素晴らしい画像が作られる。

ウェッブには、これまで宇宙に送り込まれたことのなかった巨大な鏡もある。直径6.6mの主鏡はベリリウム製で、18枚の六角形セグメントからなり、赤外光の反射に優れている金の超薄膜で覆われている。集光能力はハッブル宇宙望遠鏡の6倍だ。

宇宙でのウェッブの位置

ウェッブは地球を周回していない点が、ハッブルとは異なる。地球と月の間隔の4倍の距離で、太陽の反対側に居座っている。この点は第2ラグランジュ点(L2)と呼ばれ、地球と太陽の引力が組み合わさって重力の釣り合いがとれている点だ。

ウェッブは10年間の運用を想定して設計されたが、2021年12月の打ち上げと軌道が極めて正確だったため、推進剤がまだ多く残っている。よって、10年よりはるかに長く稼働できる見込みだ。
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forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫・編集=遠藤宗生

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