テニスの試合では対戦相手との握手が慣例となっているが、ロシアがウクライナに侵攻して以降、スビトリーナはロシアやその同盟国のベラルーシの選手との握手を拒否している。今大会に先立ち、スビトリーナは自身の姿勢を改めて示し、ロシアやベラルーシの選手との握手を拒否し続けることを明らかにした。
この抗議を知っていたアザレンカは、9日に行われた女子シングルス4回戦でスビトリーナに敗れた後、ネット際でスビトリーナに近づくことなく立ち去った。観客はスビトリーナの握手拒否の意思を知ってか知らずか、アザレンカにブーイングを浴びせた。
試合後の記者会見で観客の反応について問われると、アザレンカは不満を表明した。「何もいうことはない。彼女(スビトリーナ)はロシアやベラルーシの人たちと握手をしたくないのだ。私は彼女の決断を尊重しただけだ。他にどうすべきだったというの? ただじっと待っていろと?」さらに観客の反応は「公平ではなかった」と指摘し、スビトリーナの抗議に対して他に良い対処法があるとは思えなかったと説明。「だから私は彼女の決断を尊重するように行動しただけだ」と述べた。
アザレンカは、スビトリーナの抗議を巡る主張について「人生を変えるような会話ではない」と一掃した。「すばらしいテニスの試合だったと思う。もし人々が握手や最後にブーイングを浴びせるようなひどく酔っぱらった観客にしか注目しないとしたら、それは残念なことだ。【略】誰もここで人生を変えようとしているわけではない。私たちはテニスをしている。私たちは自分の仕事をしている。ただそれだけ」
一方のスビトリーナは「私個人としては、テニスの各連盟が、ロシア、ベラルーシ、ウクライナの選手同士で握手はしないという声明を出すべきだと考えている」として、テニスの団体が関与すべきだと発言した。
大会に先立ち、ウクライナのテニス連盟は国内のテニス選手に、最前線にいる自国の兵士に敬意を払うため、ロシアやベラルーシの選手と握手をしないよう勧告した。だが、連盟はこの勧告を選手に強制しているわけではなく、握手をするかどうかの最終的な判断は選手自身に委ねている。
スビトリーナは今大会で最も有名なウクライナ人選手とされ、連盟の方針に従っていることで注目を集めている。先月開催された全仏オープンでも、スビトリーナはロシアのダリア・カサトキナとアンナ・ブリンコワ、ベラルーシのアリーナ・サバレンカとの握手を拒否していた。
(forbes.com 原文)