永久不滅ポイントを講師への投げ銭に
さらにユニークなのが、インセンティブの仕組みだ。受講した社員はその講義へのお礼として間接的にセゾンカードの永久不滅ポイントを投げ銭のような感覚でプレゼントすることができるのだ。元々、社内には独自のピアボーナスの仕組みが根付いており、その仕組みを活用することで、永久不滅ポイントという企業の独自資産をインセンティブ付与の代わりにすることができたという。
講師自身も査定に好影響を及ぼしたいとか、出世につながるとかいう意識ではなく、自分が日々積み重ねてきたスキルや知見で誰かのプラスになりたいという貢献心からの行動であるため、こういった思いのこもったお礼の仕組みが一層効果を発揮するのだろう。
この取り組みがスタートしたのは2021年10月からと、まさにコロナ禍真っただなか。全国や海外に拠点のある同社だが、コロナ禍のコミュニケーションDXにより、リモートの環境が整いきっていたことで、講師がどこにいても、オンラインを通じて全社に届けることが可能になったという。
おそらく、社員発の社内講座という仕組みをもつ企業は多数あるだろう。現場の最前線で日々研さんを積み、それを体系的に整理できている社員は弊社だけでもたくさんいる。クレディセゾン社のように、社員ドリブンな自律的な学びの生態系をもっているということは、人的資本の強化という観点からも、今後ますます価値のある武器になるだろう。
なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月に東証マザーズに上場した。