経済・社会

2023.07.17 09:30

「女の子だからピンク」が固定観念になった経緯

木村拓哉
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男女の色分けが明らかになるにつれ、いくつかの弊害も出てきた。主なものとしては、メーカー各社が特定の性別に向けた商品へのニーズに応えようと躍起になったことが挙げられる。ピンクの三輪車、ピンクのスクーター、ピンクのカミソリ、ピンクのペンまでもが女性や女の子向けに販売され、大抵の場合、男の子向けの色に比べて高い値段で販売された。ニューヨークとカリフォルニアの2つの州だけは、ピンク税を課し、小売店が女児や女性をターゲットにしたピンク色の商品を比較的高い値段で販売することを防いでいる。

性別に対する固定観念は、こうしたピンク・フォー・ガールズ(pink-for-girls)現象の拡大によっても悪化したと言える。それに反対する世論は、ターゲットのような小売り大手に対し、玩具を性別で分けることをやめさせ、女の子向けにピンク色で飾られた玩具売り場を撤去させた。女の子がピンクの服を着ているからといって、店が「女の子用、男の子用」と玩具を区別して扱うことはできなくなった。消費者は、息子たちがブロックや化学セットで遊ぶ一方で、娘たちが人形や台所おもちゃに誘導されることを望んでいなかったのだ。(ターゲットは、どの玩具が女の子向けか男の子向けかの表示を廃止し、それまでの「女の子向け玩具」の通路に並んでいたピンクの壁紙も撤去した)。

ピンクとブルーの区別は、小さな男の子と女の子との間にある違いを、実際以上に大きく見せてしまう。周りの人々もまた、彼らをより異なるものとして扱うようになるかもしれない。そして、その結果、性別の二元論に違和感を抱く人たちに諦めの念を抱かせてしまう可能性もある。

結局のところ、女の子はピンク、男の子はブルーという固定観念は、この記事で説明してきたような経緯(社会科学者はこれを「社会構築(主義)」と呼ぶ)によって形作られたものだ。女の子がピンクに惹かれる生物学的な理由は何もない。私たちの社会が作り上げたものにすぎないのだ。バービーが大きなスクリーンに登場するとき、もし歴史が少しだけ違っていたら、バービーが青い家に済み、青い車に乗り、青い服を着ていたかもしれないということを思い出してほしい。

forbes.com原文

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