「女の子だからピンク」が固定観念になった経緯

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8月に公開される映画『バービー』を心待ちにしているファンにとっては、ピンクは夏の色だ。映画のトレーラーを観てみると、バービーが住む夢のような家はもちろん車も、服も、街の通りも、頭上を飛ぶ飛行機も、ビーチの砂さえもピンク色に染まっている。

主演のマーゴット・ロビーは映画の宣伝のためにピンクの絨毯を歩く。飲料ブランドのSwoon(スウーン)はバービーにインスパイアされた新しいピンクのレモネードを作り、ファンたちはバービーの特徴的な色の服を着ている。しかし、現代ではピンクはあらゆる女性的なものを連想させる色とされているが、昔からそうだったわけではない。

今では想像もつかないが、かつてピンクは男の子にこそ好まれる色だった。1890年のA Ladies Home Journal(レディース・ホーム・ジャーナル)の記事では「赤ちゃんには純白を。ブルーは女の子用で、ピンクは男の子用です」と紹介されている。また、1918年に出版された業界誌Earnshaw's Infants' Department(アーンショウズ・インファンツ・デパートメント)の記事でも同様の見解が示されている。「ピンクはよりはっきりした強い色であるため男の子にふさわしく、ブルーはより繊細で可憐であるため女の子にふさわしい」

ピンクの服を着た男の子が好まれたのは、中西部や南部の州で顕著だったのかもしれない。1927年のタイムの記事で、全米の大型デパートを対象に、女の子と男の子のそれぞれについて、どの色が最もふさわしいかを調査した。それによれば、ボストン、クリーブランド、ニューオリンズ、シカゴなど大多数の都市の人々は、男の子にはピンク、女の子にはブルーと答えたという。

一方、カリフォルニア州を見てみると、ロサンゼルスでは女の子にピンク、サンフランシスコでは男の子にピンクと意見が分かれ、フィラデルフィアとマンハッタンでは、男の子にはブルー、女の子にはピンクが好まれた。当時は都市によって意見が分かれ、全国的に統一された固定観念というものはなかったらしい。
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