2023年上半期には人手不足倒産が累計で110件発生し、前年同期比で約1.8倍に上ったことが判明。2013年の集計開始以降、年半期での100件超えは初めて。このペースが続けば、年間で過去最多の2019年(192件)を上回ることが予想される。
中でも、従業員の退職・離職が直接的または間接的に起因した「従業員退職型」の人手不足倒産が増加。2023年上半期には33件発生し、前年同期比(25件)で1.3倍に達した。現状のペースで発生し続けると、従業員退職型の倒産も、通年で過去最多(2019年:71件)を更新する可能性がある。
業種別では、最多が「建設業」(45件)で前年同期(15件)の3倍に急増。職人や有資格者の不足により、事業継続が難しくなったケースが顕著だった。次いで「サービス業」(21件)、「運輸・通信業」(20件)、「製造業」(9件)、「小売業」(8件)の順に。「運輸・通信業」も前年同期比で2.2倍に達し、恒常化したドライバー不足に加え、2024年4月以降、トラックドライバーの時間外労働時間の上限が年960時間に制限される「2024年問題」が影響し、人手不足が加速するリスクがある。
帝国データバンクは今後、人材獲得競争が予想されるなか、賃上げ圧力を受けての人件費高騰が企業に重くのしかかっている現状を指摘。「建設業や運輸業などコロナ禍前より人材不足に悩む業種において、賃上げに踏み切れない、人材確保が困難な状況にある中小企業を中心に、人手不足倒産が高水準で推移していく可能性がある」との見解を示した。
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