欧州

2023.07.13 10:30

「4倍返し」でロシアの大砲を破壊、ウクライナは砲撃戦に勝利しつつある

2023年3月、ウクライナ東部バフムト近郊のロシア側の陣地を目標に、自走カノン砲「2S7ピオン」で砲撃するウクライナ兵(Muhammed Enes Yildirim/Anadolu Agency via Getty Images)

こうして、ウクライナは反抗を始めた6月4日時点で、少なくとも数字としては大砲類を2500門超そろえていた。ロシア側は4500門ほどだった。以後、ウクライナ側はロシア側の4倍のペースで相手の榴弾砲やロケット砲を破壊し、相手の優位性を着々と切り崩してきた。
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砲撃戦では、敵が最も強力な火力を発揮するのを防ぐために、敵の大砲に向かって砲撃する。ある戦闘の砲撃戦に勝利した側は、たいていその戦闘で勝利する。だからこそ、ウクライナがロシアの榴弾砲やロケット砲を着実に破壊し続けていることに、自由なウクライナを支持する人たちはこれほど鼓舞されているのだ。

ウクライナが砲撃戦で徐々に優勢になりつつある理由は明らかだろう。西側から、より信頼性や精度が高く、射程も長いシステムを供与され、ウクライナ軍の13個の砲兵旅団・ロケット砲兵旅団が能力を大幅に向上させたためである。

ウクライナ側が取得した装備で最も重要なのは、ドイツやノルウェー、英国、米国から提供された多数の対砲レーダーかもしれない。対砲レーダーは、飛んでくる敵の砲弾やロケット弾を発見し、弾道の解析によって発射地点を割り出し、味方の榴弾砲やロケット砲による反撃を指示する。
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小型ドローンとも連携して運用されているこれらのレーダーによって、ロシア軍の砲兵の任務は危険きわまりないものになっている。彼らは砲撃を行ったあと、ウクライナ軍の砲兵による反撃をかわすために、即座に場所を移動しなくてはならない。

もちろん、大砲レーダーやドローンはロシア側も保有しているが、明らかにウクライナ側のものより効果が低い。

開戦当初、ロシア軍の砲撃統制システムはウクライナ軍よりも優位にあった。だが、1年後にはそれが逆転していた。すでに今年春時点で、ロシア軍が苦境に陥っていたのははっきりしていた。というのも、ウクライナ軍の南部の司令部は4月中旬、砲撃によってドニプロ側左岸のロシア軍砲兵部隊を一掃する作戦で「めざましい戦果」を報告しているからだ。

同じ司令部は現在、南部反攻の主要な攻撃軸を統括している。これらの攻撃軸でロシア軍はウクライナ軍の4倍のペースで大砲を失っている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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