なお、この「認知症あんしんプラン」は、40歳以上の認知症の人およびその家族のための専用商品だ。医師から「認知症」の診断を受けた人、または認知機能や記憶機能の持続的な低下により「道に迷って家に帰ってこられなくなることがある」等の状態が見られる40歳以上の人を保険の対象となる人にして申し込むため、まだ認知症の兆しがない人は利用できない。
親の将来的な認知症による徘徊などが気になる場合は、MS&ADインシュアランス グループの2社、あいおいニッセイ同和損保および三井住友海上火災保険が扱う高齢者向けの「行方不明時捜索費用補償特約(救援者費用等補償特約用)」を利用するのも一案だ。
この特約は、両社が販売する70才から80才代の人向けの傷害保険に「救援者費用等補償特約」をセットすると自動付帯されるしくみだ(図表3)。
特約の内容は、日本国内において本契約の被保険者が行方不明となり、警察署に行方不明者届が受理された日の翌日午後12時までに発見されなかった場合に、捜索活動を有償で行うことを職業とする者からの請求に基づいて支払った「1. 捜索活動に要した費用」のほか、救援者の現地までの1往復分の交通費(救援者2名分まで)や宿泊料、諸雑費等が50万円を上限に支払われる。
それぞれの保険や特約の詳細が気になる人は、各社に問合せすると良いだろう。
「認知症のリスク」と言えば、認知症になった本人(親)のお金を口座から引き出せなくなったり、本人名義の不動産売買ができなくなったりといった点が指摘されることが多い。
気になるのは、その結果として、各種のお金の立て替えを子が担わざるを得ないケースだ。加えて、親が行方不明時に捜索費用の負担まで背負いかねない可能性を考えると、高齢の親を持つ子世代の懐事情も心配だ。
2年後の2025年には、団塊世代が75歳以上になり、高齢者の5人に1人が認知症になると言われている。団塊ジュニアのFP(ファイナンシャルプラン)相談では、教育費負担が重い家庭も多く、とても親の認知症のツケまで払う余裕はなさそうだ。「保険」の活用も視野に入れるなど、家計にゆとりを持たせる工夫も重要となってくる。