デング熱感染が増加の兆し
世界中で毎年、約4億人がデング熱に感染し、3万6000人近くが命を落としていると推定されている。激しい体の痛みが生じることから骨折熱とも呼ばれるデング熱は、ネッタイシマカなどの蚊に刺されることで感染するウイルス性の感染症だ。ほとんどの場合は軽症で深刻になることなく治癒するが、重症化すると出血熱やショック症状を引き起こし、死に至ることもある。旅行にともなうデング熱の症例は米国では比較的よくあるが、過去数十年間、国内での感染はまれだった。だがフロリダ州やテキサス州、アリゾナ州、プエルトリコなど、いくつかの州や米領で地域感染が確認されている。2022年にはフロリダ州で地域感染したデング熱の症例が57例報告され、プエルトリコでは800例以上の集団感染が発生。2015年にはハワイ州で200例の地域感染が報告されている。これらの数字は、デングウイルスを媒介する蚊の分布が拡大するにつれて、米国におけるデング熱感染が増えていることを示している。
蚊が媒介する感染症がより一般的になる可能性
マラリアとデング熱は米国で復活の兆しを見せているが、気候や環境要因が蚊やマダニの分布拡大を促進するにつれ、ポワッサン脳炎やジカ熱、チクングニア熱など他の感染症も流行する可能性がある。では、これらの感染症から身を守るにはどうすればいいのだろうか。第1に、屋外では虫除けスプレーを使用し、背の高い草が生い茂ったところを歩くときはできれば長ズボンを着用する。第2に、小鳥の水浴び用の水盤や古タイヤ、植木鉢といったものを排除し、家の周辺に水たまりがないようにする。水たまりは蚊の繁殖地となり、マラリアなどの感染症の蔓延につながる。また、蚊やマダニにさらされてから高熱や体の痛み、発疹が出て、数日経っても治らない場合は診察を受けた方がいい。
気候変動の危機に早急に対処しなければならない理由はいくつもあるが、媒介感染症の広がりはこの増え続けるリストに加えられる懸念される事態だ。私たちは今、行動を起こさなければならない。
(forbes.com 原文)