この疑惑は当初、大衆紙サンが7日に報道。司会者の身元は公表されておらず、臆測を呼んでいる。同紙によると、この司会者は、現在20歳の若者が17歳だったころから計3万5000ポンド(約630万円)を渡し、性的な写真を送らせていた。若者の母親は、子供がその金でコカインを買って一家の生活を「破壊」したと話しているという。
家族は5月、BBCにこの問題を報告し、BBCの企業調査チームが調査を開始。しかしBBCは、その後、家族から追加の情報を得ようとしたが連絡が取れなかったため、調査は行き詰まったと説明している。
だがサン紙の報道から数日後、被害者とされる若者の代理人弁護士はBBCに送った書簡で、司会者に対する疑惑は「全くの誤り」であると主張。本人はこの「くだらない」告発を否定するため、すぐにサン紙に連絡したと説明した。
サン紙はその後、両親は自分たちの主張に誤りはないと訴えており、同紙に宣誓供述書も提出したと報じた。BBCは10日、この告発について警視庁と会合を開いた結果、当局が対応を検討する間、社内調査を中止するよう要請されたことを明らかにしている。
BBCによると、新たな告発を行った人物は20代で、出会い系アプリを通じてこの司会者と知り合った。オンラインでのやり取りで、司会者の身元を公表する可能性をほのめかしたところ、「罵詈雑言のメッセージ」を送りつけられたという。BBCは、新たな疑惑は「彼の行為に新たな疑問を投げかけるものだ」とし、調査チームがこの疑惑について調べていると説明した。
英メディア各社は、告発された司会者の氏名を報じていないが、サン紙は「有名」な人物であり、番組出演を停止させられたと報じている。BBC司会者のうち、ライラン・クラーク、ジェレミー・バイン、ゲーリー・リネカー、ニッキー・キャンベル、ニハール・アルタナヤケの5人は、問題の司会者は自分ではないと公言している。
BBCは公的資金で運営されているが、政府から独立している。オンラインメディアのデッドラインによると、リシ・スナク首相は11日、リトアニアで開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会談で記者団に対し、今回の疑惑は「衝撃的であり、懸念すべきものだ」と語った。
BBCは、サン紙による報道の数カ月前の時点で、司会者をめぐる疑惑を把握していたことを認めている。BBCは2012年、人気司会者のジミー・サビルが性加害を繰り返していた事実を知っていたにもかかわらず、40年にわたる告発をほとんど調査しなかったことがメディア報道により明らかになり、批判を浴びた。野党・労働党のハリエット・ハーマン副党首(当時)は、このスキャンダルへの対応がBBCの「汚点」となったと述べている。
(forbes.com 原文)