「コール・オブ・デューティ」や「オーバーウォッチ」、「ワールド・オブ・ウォークラフト」といった人気タイトルを抱えるアクティビジョンの買収は、テック史上最大級の買収案件となる。
FTCは昨年12月、アクティビジョン買収は競争を阻害するとして、マイクロソフトを提訴。ジャクリーン・スコット・コーリー判事は、5日間にわたる証言の後、買収に対する予備的差し止め命令を求めていたFTCの請求を棄却。マイクロソフトが「コール・オブ・デューティ」を今後10年間にわたりソニーのPlayStation(プレイステーション)向けに販売し続け、Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)向けにも発売すると約束したことを受け、競争阻害の懸念は解消されると判断した。
アクティビジョン・ブリザードのボビー・コティック最高経営責任者(CEO)は声明で、同社のマイクロソフトによる買収は「堅固に身を固めた市場のリーダーが急成長している同業界を支配し続けることを許すのではなく、競争を可能にするものだ」と表明。アクティビジョンの株価は11日に12%近く上昇し、2年ぶりの高値となる92.20ドルをつけた。
マイクロソフトはさらにこの日、アクティビジョン買収をめぐり英国で別に行われている法廷闘争を一時停止することで、同国の規制当局と合意に達した。英競争市場庁は4月、競争上の懸念から買収を阻止。マイクロソフトは5月、この決定に不服を申し立てた。アクティビジョンも先月、マイクロソフトの申し立てに参加する許可を得ていた。
一方でマイクロソフトは5月、欧州連合(EU)欧州委員会からアクティビジョン買収の許可を得ていた。マイクロソフトはこの際、アクティビジョンのゲームをXboxだけでなく他のクラウドサービスでも遊べるようにすることに同意している。
マイクロソフトはアクティビジョン買収により、ソニーや任天堂、そしてライオットゲームズを所有するテンセントと並ぶ世界最大級のゲーム会社となる。ソニーは、買収によってプレイステーションのゲーマーがアクティビジョンのゲームをプレイできなくなると警告。マイクロソフトはその後、プレイステーションで「コール・オブ・デューティ」を販売し続ける10年契約を提示した。
マイクロソフトのブラッド・スミスは昨年12月、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿で、アクティビジョン買収を「ゲーマーにとって良いこと」と説明。Xboxの市場シェアはプレイステーションとニンテンドースイッチに次ぐ3位に甘んじており、FTCによる提訴は「大きな間違い」であり、「競争や消費者、数千のゲーム開発者を害する」ものだと主張した。
(forbes.com 原文)