この自走型ロープウェイ「Zipper」(ジッパー)は、動くロープ(支索)に固定されたゴンドラが移動する従来のものと異なり、2本の支索に沿って自動運転されるというもの。ゴンドラは独立して自走できるため、カーブや分岐も可能で、さまざまな路線を設定できる。しかも、支索を張り巡らせるだけなので路線の構造がシンプルで、大きな場所をとらず、街の景観を崩すこともない。とくに注目すべきは、工費がモノレールの約5分の1、工期はおよそ1年と経済的な点だ。
Zip Infrastructureは、2018年、須知高匡氏が慶應義塾大学理工学部に在籍中に創設されたスタートアップ。同年の「かながわ学生ビジネスプランコンテスト」で知事賞を受賞した。また、須知氏とCOOの八島京平氏はフォーブスが選ぶ2022年度版アジア人「30 Under 30」(30歳未満の注目すべき30人)にも選ばれている。
Zipperは、福島県の「令和5年度地域復復興実用化開発等促進事業費補助金」に採択され、南相馬市に試験線の建設を予定しているほか、マレーシアもZipperの導入を検討しており、2022年にはZipInfrastructureとマレーシア科学大学と基本合意契約を締結した。6月30日に発表された国土交通省「交通政策審議会交通体系分科会地域公共交通部会」最終とりまとめにも、今後実用化が期待されるモビリティとして掲載されたばかりだ。
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