2023.07.15 12:30

運転免許証番号12桁で持ち主の何がわかる? 「11桁目の数」の意外な役割

2代目日本花子氏の免許証には怪しい点がてんこもり

……少々わかりにくいと思われるので、具体的な免許証を持ち出してわかりやすく説明したい。ここでは最も有名な運転免許証の保有者、「公道の覇者」とも呼ばれる日本花子氏を例にしよう。



日本花子氏は警視庁や各都道府県警察のホームページで公開されている運転免許証の、見本として登場する架空の人物だ。2019年に代替わりを果たし、現在の日本花子氏は2代目だ。昭和61年生まれの彼女は全ての車種を運転できるフル免許(かつゴールド免許)の持ち主である(ちなみに、顔写真として掲載されているのはフリーアナウンサーとして活躍する平井佳織氏のものだ)。

そんな2代目日本花子氏の運転免許証に記載されている番号は「012345678900」。11桁目のチェックディジットは「0」で、検算に利用するのは冒頭の10桁、「0123456789」だ。前述した手順に当てはめると、彼女のチェックディジットは以下のようにして求めることができる。

0×5+1×4+2×3+3×2+4×7+5×6+6×5+7×4+8×3+9×2
=0+4+6+6+28+30+30+28+24+18
=174

174÷11=15余り9

11-9=2

このように日本花子氏のチェックディジットは2である。しかし免許証には0と記されてしまっている……。

「性別」は無記載?

以前より彼女の運転免許証には疑いの目が持たれていた。彼女の番号の冒頭2桁、地域コードは「01」なのだが、このような都道府県は存在していない。それに加えてチェックディジットも誤っているというのだから、彼女は速やかに最寄りの警察署、もしくは免許センターに相談する必要があるだろう(更に言えば彼女の免許取得年は「23」と表記されている。普通に考えて1923年ではありえないから2023年(令和5年)ということになるのだが、その場合交付年月日と矛盾が生じてしまい……これ以上の詮索は控えておこう)。

冗談はさておき、免許証をお持ちの方は自身のチェックディジットを確認してみてはいかがだろうか。

末尾の1桁には免許証の再交付回数が記載されている。この数字は更新を経ても引き継がれるうえ、再交付回数が10に達してしまった場合、「0」ではなく「1」に戻るようだ。どうしても「0」を取り戻したい場合、免許証を自主返納して再び取得しなければならない。そういう意味で末尾の「0」は非常に貴重な数字であるため、運転免許証の取り扱いにはくれぐれも注意したいところだ。
 
以上が二つの数列の正体だ。私たちにはどうしても明らかにできない部分もあるが、プライバシーが含まれているためやむを得ないし、むしろ朗報であるとも言える。

数列以外も含めれば、ほとんど全ての個人が網羅されている運転免許証。しかしほぼ唯一、記載されていないデータがある。それは「性別」だ。そのため本人確認の際に性別も確認する必要がある場合、運転免許証だけでは不足してしまうので注意が必要だ。


松尾優人◎2012年より金融企業勤務。現在はライターとして、書評などを中心に執筆している。

文=松尾優人 編集=石井節子

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