それは完全なる勝利だった。
全米の蒸溜所から出品された数百の銘柄の中から、バッファロートレースはバーボン部門での上位3位までを総なめにした。『ジョージ T スタッグ』(2022年発売)は、焦がしたアメリカンオークの樽で15年以上かけてじっくりと寝かせた、パンチ力と甘味が特徴のバーボンだ。100点満点中94.4点という驚異的なポイントを獲得し、他を圧倒した。
僅差で2位につけたのは、弟分の『スタッグ・ケンタッキー・ストレートバーボン(旧称スタッグJr.)』だった。この131プルーフの力強いバーボンは、口に含むとダークフルーツの香りに驚かされる。評価は93.4点だった。バッファロートレースの最新作『ウィリアム・ラルー・ウェラー』は93.28点で3位だった。
バッファロートレースの製品に馴染みのない人のために説明しておくと、ジョージ T スタッグとウィリアム・ラルー・ウェラーはどちらもアンティーク・コレクションの一部として存在している。バーボンオタクにはBTACとして知られているこのシリーズは2000年に誕生した。毎年秋に一度だけリリースされるこのシリーズは、潤沢な予算で作られ、高プルーフという特徴をもつ5つの銘柄で構成されている。そのため、コレクターにとっては垂涎の的であり、二次市場では法外な高値がつきやすい。
一方、スタッグは通年販売されている。スタッグは7年から9年熟成の樽から作られるといわれているが、熟成年数の明記はされていない。昨年の秋、私はジョージ T スタッグと、BTACでないスタッグを目隠しで試飲したのだが、私の味覚は熟成年数の若いスタッグの方が上だと判断した。