北米

2023.07.10 17:00

景気後退リスクは「完全には排除されていない」、米財務長官

イエレン財務長官(Getty Images)

イエレン財務長官(Getty Images)

イエレン財務長官は7月9日、米国経済が好調を維持しているとしても、景気後退のリスクが「完全に排除されたわけではない」と語った。

CBSニュースの「フェイス・ザ・ネイション」のインタビューでイエレン財務長官は、雇用市場は力強いとしながらも、6月の雇用者数が前月から減少したことを受け「雇用の増加のペースは緩やかになると予想される」と述べた。

財務長官はまた、より多くの労働者が雇用市場に戻り、失業率が急激に低下したことを評価する一方で、毎月の雇用の増加が、より標準的なレベルまで鈍化する見通しを示し、経済成長がより緩やかになることが「適切かつ正常」だと述べた。

さらに、インフレ率は依然として「高すぎる」としながらも、5月時点の物価上昇率が前年同月比でプラス4%に鈍化したことで、インフレ率は緩和し始めていると指摘した。ただし、この数字は、連邦準備制度理事会(FRB)が目標とする2%の2倍に留まっている。

米労働省が7日に発表したデータによると、米国経済は6月に20万9000人の雇用を増加させ、失業率は5月の3.7%から3.6%へとわずかに低下した。この数字は期待できるものではあるが、エコノミスト予想を下回り、雇用者数の伸びは2020年12月以来で、最も少ない数値に留まった。5月の雇用者数の伸びは33万9000人だった。

FRBは数カ月にわたり、金利を引き上げ、インフレを緩和しようとしてきた。その結果、多くのエコノミストや政策立案者は、雇用の伸びがより持続可能なレベルまで緩和され、FRBが大幅な利上げを余儀なくされたり、景気後退に陥ったりすることなくインフレ率が低下することを期待している。

FRBは先月、追加利上げを見送ったが、年内にさらなる利上に踏み切る可能性を示唆しており、5日には年内の景気後退の可能性が「かなり高い」が、深刻なものや長期間におよぶものにはならないだろうと述べた。

イエレン財務長官は、債務上限の引き上げに合意し、債務不履行(デフォルト)のリスクを回避した後、6月末のブルームバーグとのインタビューで、景気後退のリスクを引き下げた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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