60年以上前からチャプスイは提供されていた
東京近郊、福生市の中華料理店「韮菜万頭」(福生市福生2218)のオープンは1992年で、外食チェーンの「際コーポレーション」の中華第1号店だという。甘いオレンジの味つけをしたチリソースを唐揚げにからめたオレンジチキンなどのアメリカ中華も出す。平日は米軍関係の客も多いという。とはいえ、この店では数年前からチャプスイは通常のメニューから外されていた。そこで、日本人の店長に話をして、特別につくってもらった。
![「韮菜万頭」の米軍関係者の客を意識した20世紀的な人物像を描いた内装](https://images.forbesjapan.com/media/article/64459/images/editor/da1a6ae9d851fac179479dbb486d168195e5d1d8.jpg?w=1200)
いただいたのは、中華麺の上にエビや豚バラ、レンコン、タケノコ、キャベツなどの具がたっぷりの餡がかかった「チャプスイ麺」だ。
![福生の「韮菜万頭」のチャプスイ麺。具だくさんでボリュームがある](https://images.forbesjapan.com/media/article/64459/images/editor/5d36e04f1949ae379475dcf16b30f3d2892c70ed.jpg?w=1200)
一般に日本で餡かけ中華として知られる中華丼との違いについて、店長は「中華丼は醤油ベースの味つけだが、うちのチャプスイは塩味でお酢が使われ、酸味が利いているのが特徴。社長がアメリカでチャプスイを食べて美味しかったとのことで、福生という土地柄もあり、メニューに導入したらしい」と話す。チャプスイ麺だけでなく、ご飯に餡かけするチャプスイ飯もあるという。
新宿区の高田馬場駅に近い中華料理店「餃子荘ムロ」(新宿区高田馬場1-33-2)では、醤油ベースに五香粉などの特製中華スパイス入りのチャプスイを出す。メニューには「五目野菜のうま煮」と説明されていて、麺やご飯にかけたりしない一品料理である。
![高田馬場の「餃子荘ムロ」ではチャプスイは酒のつまみとして提供される](https://images.forbesjapan.com/media/article/64459/images/editor/a3247879f798005c72e622718f142cbe00571ee0.jpg?w=1200)
店主によると、この店は創業70年超の歴史があり、祖父が元ジャズメンで、戦後すぐにこの地で開店。当時からチャプスイを提供していて、祖父の娘である叔母さんからレシピを教わったという。
![「餃子荘ムロ」のメニューでは「チャップスイ」と書かれている](https://images.forbesjapan.com/media/article/64459/images/editor/2b301b91856069fe3f97c6798cc9d00b14799e9d.jpg?w=1200)
大田区の蒲田にある創業58年という町中華「寶華園」(大田区蒲田5-10-1)には「エビチャプスイ定食」というメニューがある。
この店のチャプスイの特徴はケチャップ味で、具材はモヤシやキクラゲ、タケノコなどの一般の野菜炒めと同じようなものだが、餡かけになっている。もう一品「豚チャプスイ定食」もあって、ケチャップの優しい味わいから、完全に和食化していることがわかる。
![蒲田の「寶華園」のエビチャプスイ定食。ご飯と味噌汁、漬け物が付く](https://images.forbesjapan.com/media/article/64459/images/editor/556da59462fcbed6e281a2ebbdfc9151de0aec1a.jpg?w=1200)
同店主人の先代は、1962年開業の有名中華「後楽園飯店」の調理人だったそうで、その頃の中華料理店ではチャプスイをメニューに入れていた店も多かったという。