60年以上前からチャプスイは提供されていた
東京近郊、福生市の中華料理店「韮菜万頭」(福生市福生2218)のオープンは1992年で、外食チェーンの「際コーポレーション」の中華第1号店だという。甘いオレンジの味つけをしたチリソースを唐揚げにからめたオレンジチキンなどのアメリカ中華も出す。平日は米軍関係の客も多いという。とはいえ、この店では数年前からチャプスイは通常のメニューから外されていた。そこで、日本人の店長に話をして、特別につくってもらった。
いただいたのは、中華麺の上にエビや豚バラ、レンコン、タケノコ、キャベツなどの具がたっぷりの餡がかかった「チャプスイ麺」だ。
一般に日本で餡かけ中華として知られる中華丼との違いについて、店長は「中華丼は醤油ベースの味つけだが、うちのチャプスイは塩味でお酢が使われ、酸味が利いているのが特徴。社長がアメリカでチャプスイを食べて美味しかったとのことで、福生という土地柄もあり、メニューに導入したらしい」と話す。チャプスイ麺だけでなく、ご飯に餡かけするチャプスイ飯もあるという。
新宿区の高田馬場駅に近い中華料理店「餃子荘ムロ」(新宿区高田馬場1-33-2)では、醤油ベースに五香粉などの特製中華スパイス入りのチャプスイを出す。メニューには「五目野菜のうま煮」と説明されていて、麺やご飯にかけたりしない一品料理である。
店主によると、この店は創業70年超の歴史があり、祖父が元ジャズメンで、戦後すぐにこの地で開店。当時からチャプスイを提供していて、祖父の娘である叔母さんからレシピを教わったという。
大田区の蒲田にある創業58年という町中華「寶華園」(大田区蒲田5-10-1)には「エビチャプスイ定食」というメニューがある。
この店のチャプスイの特徴はケチャップ味で、具材はモヤシやキクラゲ、タケノコなどの一般の野菜炒めと同じようなものだが、餡かけになっている。もう一品「豚チャプスイ定食」もあって、ケチャップの優しい味わいから、完全に和食化していることがわかる。
同店主人の先代は、1962年開業の有名中華「後楽園飯店」の調理人だったそうで、その頃の中華料理店ではチャプスイをメニューに入れていた店も多かったという。