オーガニックは、生産、流通、消費、廃棄に至るまで、すべてのサプライチェーンが関わる命が幸せであれるシステムそのものです。その仕組みの中で、搾取、貧困、児童労働、生物多様性の低下、資源枯渇、水質・土壌汚染、気候変動といったさまざまな社会問題、環境問題が解決されていきます。オーガニックを推進することによりSDGs17項目のほぼすべての達成が叶うんです。
オーガニックの価値をパーソナルからソーシャルへシフトすれば、社会は確実に良い方向に向かいます。このことを日本、世界の人々に伝えていくのが私の使命です」(レムケ氏)
今回訪れた農場をみても、オーガニックの中でもさまざまレイヤーがあり、与えられた状況で、各々が人や社会、地球環境にとって何がベストなのかを真剣に考えて行動している様子が伺えた。われわれ消費者は、オーガニックをただの記号として捉えるのではなく、そのポテンシャルや背景に対する解像度を上げ、もっと想像力を働かせながら購買行動をとるべきであろう。
また農業は一次産業であり、そこに携わる人々は、食を通して人々の命を守っているという責任感が強く、自然環境やサステナビリティに関する意識も高い。他産業の人々が、そういった想いにリアリティを持って寄り添い、同じベクトルで人、社会、地球に思いを馳せることができれば、コンパッション溢れる未来が拓けていくはずだ。
レムケなつこ◎オーガニックビジネス研究所IOB代表取締役CEO。慶應義塾大学経済学部卒。オーガニックセクターの国連「IFOAM(国際有機農業運動連盟)欧州本部リーダーシップ・プログラム」に日本人として初めて選抜。オンラインスクールやサロン、YouTube「ドイツ発オーガニック専門番組」の運営、企業研修やコンサル、講演や執筆など幅広く活躍。Forbes JAPANオフィシャルコラムニスト。