「この地域は、100年前の北海道開拓で入植してきた人たちが、苦労を重ねて開拓してきた土地なんです。2代目から機械化を進め、3代目はそれをしっかりと根付かせてきました。4代目の私が何を担ってより良い未来に繋げていけるのかと考えた時、土づくりが一番重要だと考えています。
このまま慣行栽培だけで突き進んでいくと、確かに今は効率的に収穫できますが、どんどん土地のコンディションが悪くなり、持続可能ではありません。うちは規模が大きいので、いきなりすべてをオーガニックにするのはリスクが高い。20年かけて転換していき、次の代に引き継ぐ際に『お陰で地域の環境が良い状態で保たれ、質の良い作物が獲れるようになった』と言ってもらえるように邁進していきます」
レムケ氏はこの4つのオーガニック農場の他にも、ウエダオーチャードというメロン専門の農家、オフイビラ源吾農場などを訪問したのだが、どこの農場でも意識されているのが「アニマルウェルフェア」「生物多様性の保全」「ソーシャルレスポンシビリティ」「環境保護」だった。それは、先進国ドイツの視点に近いのだという。
オーガニックは誰のため?
「オーガニックを買うのはなぜ?」という調査結果(複数回答可)をドイツと日本で比較した場合、その答えはまったく違う。日本では80%以上の人が「健康のため」、76%が「食の安全性のため」、23%が「美容のため」だったのに対し、ドイツでは80%以上の人が「アニマルウェルフェアのため」「地域の農家支援のため」「環境保護に貢献したい」「生物多様性保全に貢献したい」と回答している。日本のオーガニック観がパーソナルなのに対して、EU諸国はソーシャルを重んじている点が決定的に違うのだ。