米国防総省は7日、ミサイル、榴弾砲、ストライカー装甲車、M2歩兵戦闘車を含む8億ドル(約1140億円)の武器追加供与の一部として、クラスター弾をウクライナに送ると発表。アントニー・ブリンケン国務長官は、対人・対装甲両用のクラスター弾DPICM(二重用途改良型通常弾)について「地域目標を攻撃するための非常に効果的で信頼性の高い砲撃能力」だと述べた。
クラスター弾は残された不発弾が民間人に危険を及ぼすことが問題視されており、多くの国が使用を禁止しているが、米国はもちろんロシアも禁止条約に署名していない。米国製DPICM砲弾の不発率は約3%とされる。
米国が昨年秋にウクライナからのクラスター弾の提供要請を拒否したのも、ジョー・バイデン大統領が今回遅まきながら供与を決めたのを「困難な決断だった」と表現したのも、不発弾の問題があるためだ。
だが、クラスター弾の必要性は明らかである。バイデンはCNNに「ウクライナは弾薬を使い果たしつつある」と説明した。ウクライナ軍は現在、南部と東部で反攻をかけ、徐々に前進しているが、毎日数千発の砲弾を撃っている。
米軍は1970年代からDPICM砲弾を使用してきた。1983年の米陸軍の研究では、敵の戦闘車両小隊に向けて発射した場合、クラスター弾には高火力弾頭1発を搭載した単一弾の4倍の効果があるとの結論が導き出された。
この研究はさらに、クラスター弾を発射する榴弾砲の砲台は、敵である目標をより早く破壊でき、敵が発射位置を三角測量する前に退避行動に移れるため、砲台を狙った反撃を回避できる可能性が高いとも結論づけている。逆に、反撃の脅威が低ければ、DPICM砲弾の方が単一弾よりも「同じ総時間でより多くの目標を攻撃できる」という。
ウクライナ軍総司令官の顧問を務める元米陸軍将校のダン・ライスが昨年秋、バイデン政権にウクライナへのDPICM供与を承認するよう求めたのは、同じ総時間でより多くの標的を攻撃できるからだ。「私たちは、この戦場に間違った弾薬を送ってしまった。それを正し、適切な弾薬を送ろう」とライスは訴えていた。
確かに、クラスター弾を送ればウクライナ軍が不発弾をまき散らし、戦後に慎重な処理作業が必要となる。不発弾の処理が完了するまでの間、民間人が重傷を負ったり死亡したりするリスクもある。しかし、それらは「すでに」ウクライナで起きていることだという点は指摘しておくべきだろう。ロシア軍は、ウクライナ侵攻でクラスター弾を使い続けている。
(forbes.com 原文)