登壇したのは、全自動衣類折りたたみ機「ランドロイド」を開発し、パナソニックや大和ハウス工業などから出資を受けたセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズの元代表で、現在はジーフィットで代表取締役を務める阪根信一。2011年に起業し、2015年から3年ほどで総額100億円超を調達するも、2019年4月に破産を申し立て、経営破綻した。
同社が経営破綻に至った経緯やその後の精神状態、そしてどのように再チャレンジしたのか。Forbes JAPAN編集長の藤吉雅春をモデレーター、Forbes JAPAN Founder 高野真をコメンテーターとし、阪根に話を聞いた。
藤吉:まず、今回登壇を快く引き受けてくださった理由をお聞かせください。
阪根:大きな金額の資金調達をしてスタートアップを経営するなかで経験を積んだからには、経営が立ち行かなくなったときに何が起こるのか、次にどういうチャレンジができるのかを、会場にいる起業家の方々やこれから挑戦していく方々へできる限り伝えていくことが自分の役割なのではないかと思い、引き受けました。
企業規模拡大のなか、社員間でハレーションが生じた
藤吉:セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズの経営破綻、大きな要因は何だったのでしょうか。阪根:最終的には資金の枯渇ですが、いま振り返って考察すると、チームマネジメントの失敗が大きな理由だったと思います。
いかにチームマネジメントが大事かということは、当時の私は認識していたつもりでした。しかし、企業規模が大きくなるなかで、社員数も増え、新しい人もどんどん入ってくる。一方の自分は、昼間は資金調達に奔走し、夜から朝にかけては開発メンバーと一緒に時間を過ごすという日々を送っていました。
すると、段々と社員とのコミュニケーションの時間が減っていきます。その結果、新しく入ってきてまだ関係性の浅いメンバーと、ずっと会社に貢献し続けてきてくれたメンバーとの融合を十分にできず、ハレーションが生まれていきました。そこをマネジメントしきれなかったというのが、失敗の要因として大きかったと思います。
ただ、最後の1年は、実は私からすると理想の組織体系になっていたんです。投資家からポジティブな意見をもらいながら、覚悟を持ってチーム体制を大きく変えるということをやりきっていました。
しかし、沈みゆく船を持ち直すことは叶いませんでした。投資家とはコミュニケーションを密に取り、例えばランドロイドの機能を向上させるために販売を1年遅らせるというのも、そのコミュニケーションのなかで判断したものでした。