大会を主催するオールイングランド・クラブは「スカートの裾より下までの長さではないこと」を条件に、女子選手に「中程度~濃い色の、無地のアンダーショーツを着用すること」を認めた。選手たちの生理を巡る不安感を軽減することが、目的だとされている。
これまで生理の問題についてオープンに語ってきた英国のヘザー・ワトソン選手は英スカイ・ニュースに対し、このルールを「とてもうれしく思う」と話している。生理のために恥ずかしい思いをすることを避けるため、ピルを服用して生理のタイミングをずらすなど、苦労してきたという。
こうしたルールの変更を受け、スポーツ専門メディアのThe Athletic(ジ・アスレチック)は女子選手たちに、生理中に全身白のウェアで試合に臨むことにともなう不安感について、話を聞いている。
記事によると、選手のなかには自身のサポートチームのメンバーに観客席から試合を見てもらい、ウェアに経血のシミができていないか確認し、サインを送ってもらっている人もいるという。
生理がある人なら誰でも、服に付いた経血のシミを心配するものだ。だが、すべての動きを撮影されているプロのアスリートたちに向けられるのは、まったく異なるレベルの「精査するため」の視線だ。
生理の不安は誰にでもある
英国のトライアスロン選手、エマ・パラントブラウン(34)は5月、スペインのイビザで開催されたレースに出場。ピンクのスーツに付いたシミを写真に撮られた。その写真が拡散されたことを受け、パラントブラウンは自身のインスタグラムでその写真をシェア。「これはただの、生理中にレースに出場することのさえない現実」と投稿し、さらに次のように述べている。
「もしあなたの知り合いの女性の99%がこれを恥ずかしいことだと思うなら、それはまさしく、私がこれをシェアしている理由。何も悪いことなどないのだから」
スポーツ選手のように注目を浴びるわけではない人たちも、経血漏れを心配している。プーマとオーストラリアのフェムテック企業、吸水ショーツを開発・生産するModibodi(モディボディ)が2022年に各国の13~19歳の女性たち1000人を対象に行った調査結果では、次のようなことが明らかになっている。
・女性の5人に3人が、経血漏れを心配してスポーツに参加するのをやめたことがある
・スポーツをしている女性の75%は、自身の生理についてコーチと話し合ったことが一度もない
また、米国で実施された別の調査によれば、高校生たちも服が汚れることを恐れ、いろいろな対策を講じているという。学校のロッカーには常に、腰に巻いて隠すためのパーカーや、着替え用の服を置いておくなどといったことだ。
オールイングランド・クラブは女子選手の不安を軽減することに加え、その他の女性や少女たち、生理がある人たちが自分の体により安心感を持てるようになればと願い、生理に関する問題についての対話も開始したという──ウィンブルドンで女子の試合が行われるようになったのは、1884年。彼らがこうした行動に出るまでには、139年の歳月を要したことになる。
(forbes.com 原文)