人民銀によると、罰金は消費者保護や決済業務、マネーロンダリング防止要件での「法令違反」に対するもの。アントグループは声明で「指摘を順守する」と表明するとともに、金融規制当局から要求された「是正に関する作業を完了した」と説明した。
人民銀はさらに、テンセント・ホールディングスにも罰金を科した。両社とも規制当局が指摘した問題の「大半」を是正したという。
香港の証券会社ウェルシー・セキュリティーズのマネージングディレクター、Louis Tse Ming-Kwongは、アリババ傘下の日刊紙サウスチャイナ・モーニング・ポストに対し、今回の処分により「アントは再び上場を検討できるようになる」可能性があると指摘した。
民間企業や有力な富豪に対する締め付けを強化する中国政府は2020年、アントグループに対する調査を開始。同社は世界最高記録となる345億ドル(約4兆9000億円)規模のIPOを予定していたが、この計画は規制当局によって同年差し止められた。
マーは中国政府の規制を批判した後、公の場から姿を消した。英紙フィナンシャル・タイムズは昨年11月、マーが家族とともに東京に住んでいると報道。マーは今年1月、アントグループの経営権を手放すと発表した。
多額の罰金が科せられた中国企業はアントグループだけではない。フードデリバリーのMeituan(美団)は34億4200万元(現在の為替レートで約680億円)、配車サービスのDidi(滴滴出行)は80億2600万元(同1580億円)の罰金を科されている。
フォーブスの最新の推計によると、マーの総資産額は236億ドル(約3兆3500億円)で世界ランキング66位。かつては中国のランキングでトップだったが、現在は7位となっている。
(forbes.com 原文)