サンフランシスコを拠点に1億6000万ドルを運用する大麻関連の投資会社ポセイドンの共同創業者のモーガン・パクシアは今年の春の終わりに、ワシントンD.C.でロビー活動をしていたとき、連邦レベルの合法化がまだ先のことであるという現実をようやく受け入れたという。
バイデン政権が大麻を規制対象から外すという希望は、彼が会った政治家や関係者によると「水泡に帰した」のだ。「合法化について私が感じているのは、10年以上かかるかもしれないということです」と彼はいう。
2022年の売上高が13億ドルのCuraleaf(キュラリーフ)や、12億ドルのTrulieve(トゥルリーブ)を含む米国最大の大麻企業は、連邦レベルの合法化をあきらめ、その代わり、緩やかな進展に賭けている。マサチューセッツ州を拠点とするCuraleafのマット・ダリンCEOは「私たちのこれまでの予測はすべて間違っていました。こういったことは徐々に起こるもので、業界はその現実を受け入れる必要があると思います」と述べている。
昨年夏から株価が41%下落した後、22億ドルの時価総額を持つCuraleafは、連邦政府の合法化ではなく、州レベルの法改正に焦点を当てた戦略を採用している。「私たちは、過去10年間やってきた、州ごとの取り組みを継続します」とダリンCEOは述べた。
フロリダ州に本社を置くTrulieveのキム・リバースCEOも、連邦政府による合法化が、何年もかかると考えている。「私たちは、まだ一塁ベースにいるのです」と彼女は語った。
政治家は合法化に関心がない
大麻が連邦レベルでいまだに禁止されているのは、非常に単純な理由からだ。大麻の合法化を推進する非営利団体「NORML」の副代表ポール・アルメンターノは「政治家たちは、この問題に関心がないのです。もし、関心があれば、取り組むはずです。とても簡単なことです」と語った。過去30年間で、23の州が嗜好用大麻の使用を合法化し、現在では38の州が何らかのかたちで医療用大麻を認めている。しかし、米国の一般大衆の88%が合法化を支持しているにも関わらず、連邦議会はこれまで一度たりとも、大麻の非犯罪化や合法化を問う投票を実施していない。
バイデン大統領がHHSに対し、大麻の分類を見直すよう要請していることについて、NORMLのアルメンターノは「これまで何度も分類の見直しが申請されてきました。しかし、すべて麻薬取締局によって却下されました」と説明した。