暗号資産

2023.07.08 15:00

FBI、暗号資産取引所「クラーケン」創業者の自宅捜索

Camilo Concha / Shutterstock.com

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米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、米連邦捜査局(FBI)は今年3月、非営利団体(NPO)に対するハッキングとサイバーストーキング事件の捜査の一環として、暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケンの創業者で元CEOのジェシー・パウエルの自宅を家宅捜索した。暗号資産業界では、著名な企業幹部に対する政府の監視が強まっている。

NYTは複数の匿名筋の情報として、FBIがロサンゼルスのパウエル宅を捜索し、電子機器を押収したと報じた。

NYTによると、連邦当局は、パウエルが自身の設立したNPOのコンピュータアカウントに介入し、電子メールへのアクセスを遮断した疑いについて、数カ月前から調べている。このNPOは「Verge Center for the Arts(ヴァージ芸術センター)」という名のアート関連の団体で、パウエルは昨年、理事会欠席や規則違反を理由に同団体の理事から解任されたという。

NYTは、ヴァージの代理人弁護士がクラーケンに送付した書簡を確認。それによると同団体は、パウエルが団体のアカウントから機密情報にアクセスしたり、電子メールやウェブサイトの利用を妨害したりしたと主張している。

パウエルの代理人弁護士ブランドン・フォックスは、フォーブスに送った電子メールで、パウエルが連邦検察当局の調査を受けていることを認めた上で、正式な犯罪容疑は掛けられていないと説明。調査はパウエルの暗号資産分野での活動とは無関係だと付け加えた。

フォックスはまた、「ヴァージは一方的な主張を行っている。全体像を政府に提供していれば、パウエルが何も悪いことをしていないことが示されたはずだ」と述べている。

パウエルは先月、ヴァージの理事を解任されたのは不当だとして、同団体を提訴した。フォックスはフォーブスに対し、ヴァージがパウエルの知らないところで秘密の理事会を開催し、彼を理事から解任したと主張。また、パウエルが「アカウントに不正にアクセスした」との疑惑については、アカウントの多くはパウエルが所有・登録しているものだと説明した。
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編集=上田裕資

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