2023.07.09 12:00

無人EVが自動でやって来る、そんな時代がすでに始まっている

坂元 耕二

日本では、電気自動車(EV)が少しずつ普及するようになったけど、アメリカではすでに「未来」が来てしまった。

そう、ラスベガスでは、オンデマンドのEVがクリックひとつ、あるいは電話一本で手に入るのだ。ラスベガスで電気自動車(EV)を借りたいなら、遠隔操作で、しかも運転手なしでEVをレンタルできるようになった。

HaloのEVタクシー。ベースカーは、キア・ニーロEVとChevrolet Boltが用意されるようだ。

HaloのEVタクシー。ベースカーは、キア・ニーロEVとChevrolet Boltが用意されるようだ。

つまり、無人のEVが玄関先に到着し、飛び乗るだけで走り去ることができるのだ。EVスタートアップの「Halo.Car」は、2022年からラスベガスでオンデマンドEVの遠隔配車をテストしているが、この技術はすでにバックアップのセーフティドライバー、つまり、もしものために添乗する人間のドライバーがいらないレベルの安全性が確保できたと述べている。

特別な訓練を受けた「遠隔ドライバー」が、ステアリングホイール、フットペダル、その他のコントロールと、レーダー、カメラ、LIDARなどを上手く活用し、車両からストリーミングされるビデオやセンサーデータを使用して、シームレスな配信を実現する、という技術。システムは有力な無線通信サービスの「T-Mobile」の5Gネットワーク上で動作し、AT&TとVerizonがバックアップとして信頼性の高いネットワーク接続と低遅延を保証する。

では、その仕組みはどうなっているのか? まず、顧客はHaloアプリを使って、改造されたキア・ニーロSUVを呼び出す。運転手のいないクルマが到着すると、顧客はHaloアプリで目的地を指定する。そしてクルマが走行を開始する。ちなみに顧客は、何か操作が必要になるかもしれないので、運転席に座る。

目的地に到着した顧客がクルマを返す準備ができたら、顧客はクルマを降りる際に、数km離れた遠隔ドライバーにクルマの制御を戻すよう要求すればいい。

もし他の顧客が事前に予約していれば、遠隔操作されているEVは、次の顧客のもとへ移動し、必要に応じて最寄りの充電ステーションまでナビゲートさえしてくれる。

間違いなく、これが未来だ。ブレードランナーの登場だ。この画期的な新しいドライバーレス・サービスがどれほどスムーズに運営され、バックアップカーが何度介入しなければならないのか、興味深いところだ。
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